ディー・アーク(最終更新日:2024年3月5\7日)

製作/販売:
姫屋ソフト
対応機種:
PC-9801VM/UV (5"2HD/3.5"2HD) 8,800円
パッケージ:
 
おはなし:
この島では、過去、何百年にも渡り、光と闇の戦いが繰り広げられてきた。時には光が島を支配し、また、時には闇が支配した。

しかし、どちらの支配も長くは続かず、必ず敗れた側は復活し、またこの島は、戦乱の渦へと巻き込まれていくのだった。

40年前の戦いでは光が勝利し、現在まで光の支配による、人間たちの平和が保たれてきた。

しかし、この島の歴史は、それを許さない事を語っていた。

そう、この島に争いの絶えることは、決して無いという事を・・・・。
追加情報:
・オートマッピング搭載、方角表示、座標表示が搭載されているので迷うことはありません。
・X座標は右から左へ、Y座標は上から下へと座標値が増えていきます。
・RPGですが戦闘に戦略はありません。HPが減ったら回復魔法を唱えるだけです。
・章により操作キャラが変わりますが経験値、レベルは共通で引き継がれます
・戦闘が面倒だと思ったら敵の出現をオフにすることもできます。
・アイテムを拾いますが所持品を確認するようなステータス画面はありません。
(敵にやられた時にどこまでアイテムを入手したか分からなくなるのでこまめなセーブを)
・敵が強いと思ったら前のフロアに戻りレベルアップをしましょう。
・アニメ調の絵に惹かれて購入、さくさく進むゲーム進行とストーリーに引き込まれて集中
 して遊びましたが一度クリアしたあとはもう一度プレイしようとは思わなかった...
 そんなゲームです
・紙芝居シーンを載せていますのでストーリーのおさらいにご活用ください

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第一章 ヴィーヴィック城

Introduction

 島の最南東にある小さな城、ヴィーヴィック城。
ダルディークの野望の第一歩は、この小さな城から始まる。
だが‥‥‥‥‥‥‥‥‥

MAP


X05,Y03 レバーを操作する
X11,Y03 レバーを操作する


X08,Y13 警備隊長と戦闘

2F:X08,Y08
広間の中央に、この城の城主が座っていた。
城主はダルディークを見ると、顔をひきつらせる。
城主「ぶ、無礼者め! ここをヴィーヴィック城と知ってやって来たのか!?」
ダルディーク「城の名など関係ない。光に属する者は、すべて焼き尽くすのみ」
城主「な、な、な、なんだと‥‥‥」
ダルディーク「死ね」
城主「フォ、フォンソー! フォンソーはおらぬか!!」
ダルディーク「誰を呼ぼうと無駄だ。こんな小城にいる程度の奴に、この私は倒せん」
城主「ひー! た、助けてぇぇぇぇぇ!!」

フォンソー「大丈夫ですかな、城主殿」
城主「おお、フォンソー!なにをしてたのだ!?ええーい、そんな事はどうでもいい。早くこいつをやっつけてくれ」
フォンソー「分かりました」
ダルディーク「‥‥‥‥‥‥」
フォンソー「御主、なぜこんな事をする?」
ダルディーク「貴様に理由を言う必要などない。黙って光は闇に呑まれればいい」
フォンソー「闇の時代はもう終わったのだ。闇を指揮していたカーサスはその力を失い、今は塔に篭っているだけだ」
ダルディーク「‥‥‥‥‥‥」
フォンソー「そして、闇側最強と言われた四龍の騎士たちも、今は大魔導師様によって塔に封印されている」
ダルディーク「なにが言いたい」
フォンソー「闇の時代は終わったのだ。バカな事を考えるのはよせ」
ダルディーク「いい加減にしてほしいな。私は、貴様と談笑しに来たのではない」
フォンソー「しかたあるまい。こうなったらその身体に分からすまで」

ダルディーク「グゥゥ‥‥‥お、おのれぇ‥‥‥」
フォンソー「上には上がいるということだ。自分の無力さがこれで分かっただろう」
ダルディーク「クッ‥‥‥」
城主「よくやったぞ、フォンソー! 早くとどめを刺せ!! その無礼者の首を跳ねるのだ」
フォンソー「お待ち下さい、城主殿。この者なかなかの素質を持っております。このまま殺してしまうのは実に惜しい‥‥‥」
ダルディーク「‥‥‥‥‥‥」
城主「な、なにを言い出す、フォンソー! そ、そいつは闇の者だぞ!」
フォンソー「分かっております。しかし、この者も悪魔ではないのですから説得すればなんとか」
城主「何をバカな‥‥‥‥‥‥」
フォンソー「どうだね? その力を光の為に使ってみる気はないかね?」
ダルディーク「フフ‥‥‥フフフフ‥‥‥」
フォンソー「ん?」
ダルディーク「ハハハハハハ! 貴様の有難い演説のおかげで、体力が幾らか回復したよ」
フォンソー「なに?」
ダルディーク「今度、会う時は、貴様が死ぬときだ」
フォンソー「ま、待て!」
城主「逃がすな、フォンソー! 魔法で逃げる気だぞ!」

フフ‥‥‥確かに私は、まだまだ未熟のようだ。
もっと力を手に入れなければ‥‥‥強大な力を‥‥‥

試練に耐えた者のみに闇の強大な力を与える、と言われている試練の塔へと、ダルディークは向かった。なぜその塔の存在を知っているのか、ダルディークには分からなかったが、そんな事はどうでもいい事だった。いまダルディークに必要なのは『力』だけだったのだ。

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第二章 最後の悪魔

Introduction

 闇側の指導者であったカーサスは、前大戦に敗れ、今は小さな塔の中に篭っていた。そのカーサスの塔は、別名『試練の塔』と呼ばれ、試練に耐えた者だけに闇の強大な力を授けると言われていた。しかし、その試練に耐えた者が出たという噂はまったく無く、カーサス自身にさえ、もうそんな力は無いのでは、とまで言われていた。人々は、そんなカーサスを、皮肉を込め『最後の悪魔』と呼んだ。

MAP


X10,Y09 赤い玉を入手


X04,Y11 壁の穴を調べる
X12,Y11 壁の穴を調べる
X08,Y05 青い玉を入手


X07,Y12 金色の玉を入手


X11,Y08 銀色の玉を入手
X05,Y11 玉を使い扉を開ける
X05,Y06 土竜と戦闘

4F:X05,Y06
ダルディークが広間に入ると、ローブを着た老人が、ゆっくりと立ち上がった。
カーサス「よく来たな、ダルディークよ。私の名は、カーサス。最後の闇の支配者よ」
ダルディーク「私は力を得る為に来た。得るほどの力が、ここにあるならの話だがな」
カーサス「それは自分の力で試してみるがいい」
ダルディーク「この私を試すと言うわけか」
カーサス「フフフフフ‥‥‥‥‥‥いでよ、土竜!」

ダルディーク「ぐぐぅっ!」
ダルディークの剣が土竜の咽元に突き刺さる瞬間、カーサスから炎の玉が、ダルディークめがけ飛んできた。それを避けた瞬間、ダルディークの肩に土竜の牙が突き刺さった。
カーサス「ハッハッハッハッ! 口ほどにもない奴め」
ダルディーク「おのれぇ‥‥‥」
カーサス「その程度の力で、この私から力を授かろうとは、笑止千万!」
ダルディーク「‥‥‥‥‥‥」
カーサス「どうした? 恐怖と痛みで声も出ないか?」
ダルディークは感じていた。己の身体から湧き出す強大な、何か得体の知れない力を‥‥‥。そして、野望、憎しみ、怒り‥‥‥さらに己が目指すものが、今はっきりと感じられた。
ダルディーク「フフフフ‥‥‥フッハッハッハッハッハッ!」
カーサス「狂ったか‥‥‥」
ダルディーク「礼を言うぞ、カーサス」
カーサス「なに?」
ダルディーク「貴様のおかげで、真の力が覚醒した」
カーサス「なにを寝ぼけた事を‥‥‥」
ダルディーク「まっていろ。いまこの雑魚をかたずける」

土竜「ギィェェェェェェェェェ!!」
カーサス「おおっ! 土竜が、いとも簡単に‥‥‥」
ダルディーク「貴様にも礼を言わねばな。もう何も聞こえんだろうがな」
カーサス「むむぅ!」

カーサス「凄い、凄いぞ! 私はお前の様な奴を待っていたのだ」
ダルディーク「‥‥‥‥‥‥」
カーサス「これで闇が復活する。我々でこの島を治めるのだ」
ダルディーク「我々?」
カーサス「そうだ。私とお前が組めば、光の奴らなど恐るるに足りん」
ダルディーク「恐るるに足りん‥‥‥か」
カーサス「一時期は光との協調も考えていたが、これで奴らも我らの前に跪くことだろう。さぁ、もっと近くへ寄るがいい。我の力をお前に授けよう」

カーサス「ぐうぉぉぉ!」
ダルディーク「なるほど、貴様が指導者ならば闇も敗れるわけだ」
カーサス「ダ、ダルディーク‥‥‥な、何を‥‥‥する」
ダルディーク「上に立つ者は二人いらん。そして、より優れた者が上に立つ」
カーサス「う、裏切る‥‥‥のか‥‥‥グフッ!」
ダルディーク「裏切る? フッ!その言葉は、少しでも協心した者に使う言葉だ。貴様の様な下種と私を、一緒にしてもらいたくはないな」
カーサス「ぐ、ぐうぉぉぉぉ!!」
ダルディーク「死ね」

ダルディークは真の力に目覚めた。
その力は、まさしく闇の力であり、それは光の者、人間に対する殺戮の始まりであった。

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第三章 ヴィーヴィック城 再び

Introduction

 闇の力に目覚めたダルディークは、復讐の炎を心に燃やしつつ、再びヴィーヴィック城へと向かった。

MAP


X06,Y05 レバーを操作する
X10,Y05 レバーを操作する


X08,Y13 新警備隊長を倒して城主の元へ

2F:X08,Y08
城主「ま、またしてもお前か!」
ダルディーク「待たせたな」
城主「お、お前など待っておらぬわっ!」
フォンソー「どうして分からぬのだ。その力をなぜ人々の為に役立てようとせぬ」
ダルディーク「人々の為? 私はその人間を、地上から抹殺する為に来たのだ」
フォンソー「一度助かった命、そう無駄にすることもあるまい」
ダルディーク「フフ‥‥‥その甘さ、後悔する事になるぞ」
城主「こ、殺してしまえ、フォンソー!」
フォンソー「しかたあるまい‥‥‥まいれ!」

フォンソー「ぐぐぅ‥‥‥‥‥‥」
城主「ああ、フォンソー!」
ダルディーク「人間の甘さが、これで分かったろう」
フォンソー「そ、それが‥‥‥人の‥‥‥や、優しさ‥‥‥‥‥‥グハッ!」
ダルディーク「最後まで寝言を」
城主「おおぉー! フォ、フォンソー!!」

ダルディーク「さて‥‥‥」
城主「ヒ、ヒィー! ま、待て! の、のぞみは何だ!? 金か? それとも、この城か?」
ダルディーク「のぞみだと? 貴様ごときにかなえてもらう様な、のぞみは持ち合わせてないな」
城主「ま、待って! い、命だけは! 命だけはっ!!」

ヴィーヴィック城は、ダルディークただ一人によって落とされた。城を包み込む燃え盛る炎は、人間たちをあざ笑うかの様であり、ダルディークを高揚させるのだった。
ダルディーク「燃えろ、炎よ! 醜い人間共を全て焼き尽くせ」
ダルディーク「いずれ、この島全体が、この炎に包まれることだろう」
ダルディーク「フフフフ‥‥‥ハーハッハッハッハッハッ!!」

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第四章 四龍の騎士たち

Introduction

 前大戦、もっとも光側を恐れさせた者たちがいた。黒龍、炎龍、雷龍、氷龍の『四龍の騎士』。四龍の騎士は闇側最強と言われていたが、今は四龍の塔に閉じ込められ、大白魔導士によって封印されていた。四龍の騎士が黙って封印されている事に、最初は戸惑いを感じた人々だったが、時間がたつにつれ四龍の騎士の存在自体の記憶も薄れていった。しかし、彼らが大人しく封印されていたのは、新しい闇の指導者を待っていたからにすぎなかった。ダルディークは、その四龍の騎士を解放し、手下にするべく四龍の塔へ向かった。

MAP


X14,Y02 アーリアと戦闘


X04,Y11 ラーディスと戦闘


X08,Y10 ルーラと戦闘


X18,Y18 ザーシュと戦闘


X12,Y10 大白魔導士と戦闘

1F:X14,Y02
女「あら、お客様とは、何十年ぶりかしら」
長弓を持った女が、声をかけてきた。
アーリア「私は氷龍の騎士アーリア。何しに来たか知らないけれども、大ケガしないうちに帰った方がいいですよ」
ダルディーク「フム、なかなかの能力を持っているようだ」
アーリア「そうよ。だから早く帰りなさい。私が優しく言ってるのは、今だけなのよ」
ダルディークは微笑すると、黙って剣を抜いた。
アーリア「おもしろいわね。そんなに死にたいわけ?」
~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~
アーリア「こ、この私が負けるとは‥‥‥考えられないわ」
ダルディーク「さすが、四龍の騎士と恐れられただけはあるな」
アーリア「さぁ、好きにするといいわ」
ダルディーク「ならば、その命、私の為に役立てろ」
アーリア「‥‥‥まさか、あなたは闇の統一を‥‥‥‥‥‥」
ダルディーク「お前はそこで、待っていろ。あとの三人を連れてくる」
そう言うとダルディークは、その場をあとにした。

2F:X04,Y11
男「ほほぉーう。久しぶりに人間を見た‥‥‥いや、どうやら人間ではないようだな」
ダルディーク「お前が雷龍だな」
ラーディス「いかにも! 一目で分かる美男子、それが俺様、雷龍の騎士ラーディス様よ」
ダルディーク「その命、私に預けろ」
ラーディス「ファーハッハッハッ! おもしろい!! いいだろう。もし、この俺様に勝てたら、この命、好きにするがいい」
~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~
ラーディス「どわぁぁぁぁぁ! この俺様が負けるとは‥‥‥」
ダルディーク「それでは、その命、好きにさせてもらおうか」
ラーディス「まさか取って喰うんではあるまいな?」
ダルディーク「そんなもの、死んでも喰いたいとは思わん」
ダルディーク「とにかくお前は、あとの二人を解放するまで、そこで待っていろ」
ラーディス「わ、分かった‥‥‥それでは2階への扉を開けよう」

3F:X08,Y10
女「あら? こんな所まで入り込んで、何をやってるのかしら?」
ダルディーク「従順で、腕のたつ女を探しにきた」
女「残念ね。腕のたつ女はいるけど、従順な女はいないわよ」
ダルディーク「ならば、従順にならざるを得なくするか」
ルーラ「この炎龍の騎士ルーラ様に、そんな口をきいて生きていられた奴はいないのよ!」
ダルディーク「すると私が第一号というわけか」
ルーラ「おほざきでないよ!」
~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~
ルーラ「わ、私が負けるなんて‥‥‥」
ダルディーク「少なくとも私にだけは従順になることだな」
ルーラ「殺さないの?」
ダルディーク「殺す気なら、とっくに殺している」
ルーラ「何をする気?」
ダルディーク「すぐに分かる‥‥‥あと一人の龍騎士に会えばな」
ルーラ「‥‥‥‥‥‥」

4F:X18,Y18
男「ほう、ここまで来れた者は、いままでになかったが‥‥‥」
ダルディーク「別に難しい事ではない」
ザーシュ「私の名はザーシュ、黒龍の騎士ザーシュだ」
ダルディーク「私の名はダルディーク。お前たちを退屈なブタ小屋生活から解放してやりに来た」
ザーシュ「それでは、ここまでこれた事に敬意を表して、特別に話してやろう」
ザーシュ「我々、四龍の騎士は大人しく黙って、ここに閉じ込められていたわけではない。闇の指導者となる者を待っていたのだ」
ザーシュ「残念な事に前大戦の指導者は無知で愚かな奴だった。その為に闇は敗れた」
ザーシュ「しかし、真の闇の指導者さえ現れれば、闇全体を統一出来れば‥‥‥そうすれば、今度こそ光を滅亡し、二度と復活などさせはしない」
ダルディーク「貴様の目は節穴か?」
ザーシュ「なに」
ダルディーク「目の前にいる、自分が従うべき者も分からぬのか」
ザーシュ「おもしろい。ならば、この剣で確かめさせてもらおう。従うべき能力の持ち主かどうかな」
~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~
ザーシュ「こ、この力は‥‥‥まさしく我々が求めていたもの」
ダルディーク「あとは、この上にいる、封印を造る邪魔者を始末すればいいわけだな」
ザーシュ「そうです」
ザーシュ「女ながらも、凄い魔力の持ち主、大白魔導士です。」
ザーシュ「しかし、我ら四龍の騎士とでかかれば、たやすく倒せるでしょう」
ダルディーク「フッ! 私一人で十分だ」
ザーシュ「し、しかし‥‥‥」
ダルディーク「貴様はここでおとなしく待っていればいい。私を信じろ」
ザーシュ「わ、分かりました」

5F:X12,Y10
大白魔導士「あなたですね、四龍の騎士を助けだしに来たという者は?」
ダルディーク「もらいに来ただけだ」
大白魔導士「また争いを起こし、平和を乱すつもりですか」
ダルディーク「平和など、人間の創り出した虚像にすぎん」
大白魔導士「それは違います。あなたたち闇の者が、その平和を壊しているだけです」
ダルディーク「見せかけの平和を壊して何が悪い」
大白魔導士「見せかけではありません! 真の平和は人間が‥‥‥」
ダルディーク「もういい。貴様と話しても時間の無駄だ」
大白魔導士「そうやって、すぐ力に頼るのですね。人は会話という、すばらしいものを持って‥‥‥」
ダルディーク「時間の無駄と言ったろ‥‥‥素直にこの塔の封印をとけばよし、さもなくば‥‥‥」
大白魔導士「殺す‥‥‥わけですね」
ダルディーク「どうやら、その方が早いようだ」
大白魔導士「そう簡単に行きませんよ」

大白魔導士「クッ‥‥‥」
ダルディーク「さぁ、封印をといてもらおう」
大白魔導士「たとえ死んでも封印はときません」
ダルディーク「貴様が死ねば、封印は自然に消滅するのだ。無駄に死ぬことはなかろう」
大白魔導士「だったら、私を殺しなさい!」
ダルディーク「フッ!‥‥‥せっかく人間的な行動をしてやったのにな」
大白魔導士「上辺だけ人を装っても無駄です。あなたの中身は、醜い悪魔だわ」
ダルディーク「それを自覚しているだけ、人間共よりマシだと思うがな」
大白魔導士「人間とあなたたちを一緒にしないで!」
ダルディーク「フフ、また無駄な時間を過ごしてしまった。」
大白魔導士「絶対にこの島は、あなたたち闇の手には落ちません」
ダルディーク「そのちっぽけな命、無駄にした事を後悔するがいい」

ザーシュ「我々は、あなたが現れるのを40年間待ちました。」
ザーシュ「そう、あなたこそ我らが待ち望んだ、真の闇の支配者なのです」
ザーシュ「我々はダルディーク様に忠誠を誓い、この命、喜んで捧げましょう」
ダルディーク「うむ‥‥‥一言だけ言っておこう。貴様らが守る事はたった一つだけだ‥‥‥」
ダルディーク「私に逆らうな‥‥‥以上だ」
四龍の騎士「ははっ!」

ダルディークに強力な味方がついた。いや、味方ではなく、ダルディークにとっては、自分の野望を達成する為の、一つの道具にすぎないのかもしれない。

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第五章 三国同盟

Introduction

 闇の復活に、そしてダルディークの侵攻に、いち早く気付いた者たちがいた。この島の南部をおさめるマーサス、カッソル、ヘルンの三王である。三人の王は、お世辞にも仲が良いとは言えなかったが、闇による自分の領地への侵略となると話は別である。さっそく三人の王は、三国同盟を結成。ちょうどダルディークの軍勢を囲むような形になった。
 一方、ダルディークは三国の中で一番、戦力の弱いカッソルに攻撃を集中。マーサスとヘルンの援軍が到着する前に、黒龍の騎士ザーシュにより落とされた。

 カッソル王は、黒龍ザーシュに単身戦いを挑んだが、それはただの無謀に終わった。次にダルディークはマーサスへと、矛先を向けた。

 マーサスは三国一の軍勢を誇り、その指導者マーサス王は、若くして知将と呼ばれる戦略家であった。ダルディークの現在の戦力では、とても勝ち目の無い相手であった。しかし、ダルディークは、マーサスへとは攻め入らず国の外に陣を張った。そして、守りだけに徹し、決して攻め入らずに、戦いを膠着状態へともって行った。
 こうして、マーサスの軍勢を足止めし時間を稼ぐうちに、炎龍に率いられた一隊が、ヘルンへと攻め入ったのだった。ヘルンの実力からして、攻略は時間の問題と思われたのだが‥‥‥

※ここより、プレイヤーは『炎龍の騎士ルーラ』に代わります。

MAP



X02,Y20 ツワモノと戦闘


X11,Y06 王の間の鍵で扉を開ける
X11,Y04 ヘルン王

3F:X11,Y04
ヘルン王「ほほう、これはこれは、素敵なレディの御登場だ」
ルーラ「ウジ虫に褒められても、うれしくないわね」
ヘルン王「くのぉ‥‥‥可愛い顔をしているが、やはり心は悪魔の様に真っ黒のようだな」
ルーラ「いくら私が美しいからって、そう何度も褒めなくてもいいのよ」
ヘルン王「おのれぇ、へらず口を‥‥‥」

ルーラ「フン! 口ほどにもない男ね」
ヘルン王「可愛い顔をしてるんで、ついつい甘くみた様だ」
ルーラ「その可愛い女の子に殺されるのよ、幸せ者ね」
ヘルン王「誰が女の子だ、くそぉ‥‥‥」
ルーラ「さっきから何を時間稼ぎしているの? 援軍でもまっているのかしら?」
ヘルン王「そ、そ、そんな事はない! 絶対ない!!」
ルーラ「フフフ、まぁ、誰が来ても無駄でしょうけど」
ヘルン王「お、おのれぇ‥‥‥ん? おお、来たか!」
ルーラ「‥‥‥‥‥‥」
ヘルン王「ハハハ! 小娘め、聞いて驚け! 奴こそ光の騎士、フェルナスだ!!」

フェルナス「ヘルン王、御無事で」
ヘルン王「ええい、遅いぞフェルナス! まぁ、いい。とにかく、その小娘を早くかたずけてくれ」
フェルナス「女か‥‥‥」
ルーラ「女だからって甘くみると痛い目に会うよ。行くよ!」

ヘルン王「おお、流石フェルナスだ」
フェルナス「いえ、なかなか手ごわい相手でした」
ヘルン王「さぁ、とどめを刺せ」
フェルナス「無抵抗な人間に、剣は向けられません」
ヘルン王「何を言っとるんだ! そいつは人間じゃない! 悪魔だ! 無抵抗な悪魔を殺して何が悪いと言うのだ」
フェルナス「しかし‥‥‥」
ヘルン王「ええい、ならば私がやる! 剣を貸せ」
フェルナス「ヘルン王!」
ヘルン王「ウッ!」
フェルナス「‥‥‥‥‥‥」
ヘルン王「わ、分かった。ここはフェルナスの顔をたてよう」
フェルナス「ありがとうございます」
ヘルン王「誰か! こやつを牢にぶち込んでおけ!」

カッソルの鎮圧を終了した黒龍ザーシュは、ダルディークにその報告をした。
ザーシュ「カッソルの一族は、女子供を含め全て始末しました」
ダルディーク「うむ。ところで、ヘルンの方だが‥‥‥」
ザーシュ「ルーラが何か?」
ダルディーク「どうやらしくじった様だ」
ザーシュ「それではすぐに私が救出を‥‥‥」
ダルディーク「ヘルン攻略が先だ。救出など二の次でよい」
ザーシュ「分かりました、すぐに‥‥‥」

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第六章 救出 炎龍の騎士

Introduction

 黒龍の騎士ザーシュは、すぐにヘルンへと向かった。ダルディークはヘルン攻略を第一目的とし、炎龍救出は二の次とした。ザーシュはダルディークに逆らうつもりは毛頭無いが、炎龍ルーラを救出するつもりであった。そう、炎龍ルーラを救出するなとは言っていないのだ。ヘルンさえ落してしまえば問題はない。しかし、ヘルンに光の騎士フェルナスがいるという事を、ザーシュはまだ知らなかった。

※これより、プレイヤーは『黒龍の騎士ザーシュ』に代わります。

MAP



X02,Y20 ツワモノと戦闘


X11,Y06 王の間の鍵で扉を開ける
X10,Y16 ヘルン王

3F X10,Y16
登場人物:ザーシュ/ルーラ/ヘルン王/フェルナス/ダルディーク

ヘルン王「ん? 何だ貴様はっ!?」
ザーシュは黙ったままゆっくりとヘルン王へ歩み寄った。その足元には、縛られ魔法で封印された炎龍ルーラがいた。
ザーシュ「あまり良い格好ではないな」
ルーラ「ザーシュ!」
ザーシュ「いま助けてやる」
ルーラ「誰もあんたに助けてくれなんて言ってないわよ!」
ザーシュ「こちらも好きでやっているのではない。ダルディーク様の命令だ」
ルーラ「ダルディーク様‥‥‥‥‥‥やはり、お怒りなの?」
ザーシュ「‥‥‥‥‥‥心配するな」
ヘルン王「き、貴様! 我々を無視して、何をイチャついておるんだ!!」
ザーシュ「‥‥‥‥‥‥‥‥‥」
ヘルン王「フフフン! ノコノコと女を助けに来おって、まるで白馬に乗った王子様きどりか!」
ザーシュ「貴様‥‥‥‥‥‥死ね」
ヘルン王「フフフン! どうやら、話し合う余地もないらしいな」
ザーシュはそれ以上何も喋らなかった。ただ黙って剣を抜く。
ヘルン王「このヘルン王をなめるなよ! この女と戦ったときと違い、いまは魔法アイテムで武装しているのだからな!!」

ヘルン王「な、なかなかやるな。しかーしっ! 私が貴様のとどめを刺す前に、こいつと戦ってもらおう」
ザーシュ「‥‥‥‥‥‥‥‥‥」

ヘルン王「フェルナス! 私がしとめてもいいのだが、まぁ今回は、お前に花を持たそう」
ザーシュ「薄汚い‥‥‥ブタめ」
ヘルン王「な、なにをぉぉぉぉ! フェルナス! 殺せ! 今度こそ手加減するなよ!!」
フェルナス「来い!」

ザーシュ「グクゥ‥‥‥」
ヘルン王「そこだ、フェルナス! 殺してしまえ!!」
フェルナス「ぬうぉ‥‥‥」
ザーシュ「つ、強い‥‥‥」
ヘルン王「よし! やれ! やってしま‥‥‥ああっ!!」

フェルナス「ぐうわぁ!」
ザーシュ「ダ、ダルディーク様‥‥‥」
ダルディーク「何をやっている、ザーシュ」
ザーシュ「も、申し訳ありません」
ヘルン王「ひ、卑怯だぞ!」
ダルディーク「卑怯? 少なくとも貴様が使う言葉ではないな」
ヘルン王「ぐ‥‥‥‥‥‥」
ダルディーク「とどめを刺せ」
ザーシュ「はっ!」
その時、数人の戦士が部屋に入って来た。
フェルナスの部下「フェルナス様をお守りしろ!」
ダルディーク「こざかしい雑魚どもが‥‥‥」
ザーシュ「ここは私が!」
ダルディーク「いいだろう。それでは魔法で体力を回復してやる」

しかし、フェルナスは別の部下に助けられ、城を脱出してしまった。
ダルディーク「逃げても無駄だ、フェルナス。すぐに貴様を見つけ出し、息の根を止めてやる」

ダルディーク「さて、ヘルン」
ヘルン王「ヒィッー! よ、寄るな! 寄らないでっ!! こ、殺さないでェェェェ!!」
ダルディーク「フン! 殺しはしない」
ヘルン王「ほ、本当に?」
ダルディーク「今はな」
ヘルン王「う、うわぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!」

マーサス「なに!? ヘルン王が!?」
マーサスの部下「はい! 敵の最前線に一族の女子供と一緒に、張り付けにされております」
マーサス「おのれぇ、ダルディーク! 卑怯な手を!!」
マーサス王は最高の武人であった。しかし、その心は武人としては優しすぎた。
ここに、マーサスはダルディークによって無血占領された。
後に幽閉の身となったマーサス王は、生き延びた部下に助けられ、どこかへ身を隠した。

しかし、ヘルン王はマーサス降伏と同時に殺されていた。

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第七章 失われし暗黒のよろい

Introduction

 傷ついたフェルナスを捜す為、四龍の騎士たちはその跡を追った。しかし、光の民たちの結束は固く、フェルナスに関しての質問には頑に口を噤むため、なかなかフェルナスの足取りは掴めなかった。そんなある日、黒龍の騎士ザーシュが朗報を伝えに戻った。前大戦で失われたはずの暗黒のよろいが、まだ存在すると言うのだ。英雄ヴァームとともに前大戦を戦った戦士アルカース。そのアルカースが、人里離れた山奥にあるダンジョンの中で、暗黒のよろいを守っているらしいと言うのだ。ダルディークは、フェルナス捜索をザーシュに任せ、単身アルカースのダンジョンへと向かった。

※これより、プレイヤーは『ダルディーク』に代わります。

MAP


X09,Y14 フェルナスの部下 / X37,Y21 フェルナスの部下
X49,Y22 アルカース

B1F X49,Y22
アルカース「ハハン! やはり来たか、闇の小悪魔め。フェルナスの言った通りだわい」
ダルディーク「おとなしく、そのよろい渡してもらおうか」
アルカース「このよろいは、わしの命に代えても渡さん!」
ダルディーク「フッ! 貴様のような老いぼれの命が、そのよろいに代わるほどの物とでも思っているのか?」
アルカース「ぬかせ! 歳をとっても、このアルカースの戦斧さばき、衰えてはおらぬぞ!」

アルカース「グウゥ‥‥‥む、無念だ」
アルカース「ヴァ、ヴァームよ、あとを‥‥‥あとを頼んだぞぉぉぉぉぉ‥‥‥‥‥‥」

ダルディーク「これが、暗黒のよろいか‥‥‥」
そのよろいは、うっすらとオーラをまとい、静かに宙に浮いていた。それ以外は、普通のよろいと何ら変わりは無さそうであった。しかし、ダルディークが近づくと、よろいは震えだし、オーラが大きくなっていった。ダルディークとよろいのパワーが共鳴し出したのだった。

ダルディーク「よろいよ、我に従え」

その瞬間、よろい自ら、ダルディークの身体に装着した。もの凄い気を発する邪悪な力が、ダルディークの身体にみなぎり、真っ赤なオーラが身体を包み込む。
ダルディーク「フフフフ‥‥‥これぞ、私の求めていた力だ」
ダルディークの力は、暗黒のよろいによって、さらに増大した。また一歩、ダルディークは野望に近づいたのだった。

‥‥‥‥‥‥そして、光側は、前大戦の英雄であり、貴重な存在であったアルカースを失ったのである。

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第八章 女神の国レドラル

Introduction

レドラルの住民だという女が、ダルディークを訪ねてきた。
ダルディーク 「レドラル?」
レドラルの女「はい。ここから北に少し行った所にございます、女だけの国にございます」
ザーシュ「そこの王女は、女神と呼ばれるほど美しいと評判です」
レドラルの女「はい。レドラルは、女神の国と呼ばれているくらいでして‥‥‥」
ダルディーク「それで、そのレドラルの民が、私に何の用だ?」
レドラルの女「はい。私、見たんです。フェルナス様が、レドラル城に入って行くところを‥‥‥」
ダルディーク「ほう」
レドラルの女「間違いありません。私はその城で、働いていたのですから」
ダルディーク「なるほどな‥‥‥ザーシュ」
ザーシュ「はい」
ダルディーク「すぐにレドラル攻略を進めろ」
ザーシュ「分かりました」
レドラルの女「あのぉ‥‥‥褒美をもらえると聞いているのですが‥‥‥」
ダルディーク「褒美か? フフ、いいだろう、たっぷりやろう」
レドラルの女「あ、ありがとうございます!」
ダルディーク「一緒に棺桶の中に持って行くがいい。 つれて行け!」
レドラルの女「い、い、いやぁぁぁぁぁぁぁぁ!!」

 三国同盟が崩壊したため、レドラルは孤立する形になっていた。そのためダルディークの軍勢は、容易にレドラルを完全包囲し、怒涛の進撃を開始したのだった。ダルディーク軍の激しい猛攻に合い、女性のみのレドラル軍は撤退に撤退を重ねるしかなく、ついには居城レドラル城にまで後退し、篭城戦となったのだった。いま、ダルディークは、その軍勢とともにレドラル城へと攻め入った。

MAP


X07:Y17 ボタンのヒント


X19:Y22 『火』のボタン
X21:Y22 『大地』のボタン
X23:Y22 『心』のボタン
X25:Y22 『風』のボタン
X27:Y22 『水』のボタン

3F X20,Y05
アネット「何者です、無礼な!」
ダルディーク「まだ、子供ではないか」
レドラルの前王女が急死したために、若くして王女となったアネット。しかし、そのカリスマ性は、前王女を遥かに凌ぐものがあった。
アネット「出て行きなさい!」
アネットは毅然とした態度でダルディークをにらんだ。
ダルディーク「単刀直入に言おう。フェルナスは何処だ?」
アネット「知りません! たとえ知っていたとしても、あなたに教える気は毛頭ありません!」
ダルディーク「ほほう、強気だな。ならば、その身体に聞いても、よいのだぞ」
レドラル親衛隊長「ええい! もう許せん!!」
アネットを護衛していた親衛隊員たちが、突然ダルディークに襲いかかった。

レドラル親衛隊長「おのれぇ、今度は私が相手だ」
新手の親衛隊長が現れた。

レドラル一の使い手たちも、やはりダルディークの敵ではなかった。
ダルディーク「さて‥‥‥‥‥‥」
ダルディークがアネットに近づくと、アネットは突然、短剣を抜いた。
ダルディーク「おやおや、子供のおもちゃにしては、かなり物騒な物だな」

アネット「私は誇り高きレドラルの王女です。悪魔の手にかかるくらいなら、自らこの命を絶ちましょう」
ダルディーク「それは手間がはぶけて結構だな」
アネット「‥‥‥‥‥‥」
ダルディーク「フッ、そうまでしてフェルナスの居所を隠したいか」
アネット「何の事です!?」
ダルディーク「やはり、まだまだ子供だな。心を読まさぬ方法を、まだ知らぬとみえる」
アネット「ハッ!」
ダルディーク「フェルナスはすでに逃げた後‥‥‥」
アネット「‥‥‥‥‥‥」
ダルディーク「なるほど、フェルナスには神官の姉がいたのか」
アネット「ち、違うわ!」
ダルディーク「敵視している私に対して否定するとは、肯定していることと同じだ」
アネット「ウウゥ‥‥‥」
ダルディーク「もう貴様に用はない。可愛い王女に敬意を表し、自害を許そう」
アネット「ク、クゥ‥‥‥」
こうして、アネットの死によりレドラルはダルディークの手に落ちた。
レドラル王女の死は光側に暗雲をもたらしたが、フェルナスの居場所をダルディークに知られた事は、光側にとってもっと大きな暗雲になるだろう。
いま、ダルディークの猛追撃が始まった。

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第九章 大神官サラ

Introduction

 フェルナスには一人の姉がいた。この島でも指折りの神官であり、人々に愛され、崇拝されている大神官サラ。彼女がフェルナスの姉である。そのサラがいるフーラル寺院に、傷ついたフェルナスは落ち延びていた。
 そしていま、ダルディークはフーラル寺院へ侵攻を開始した。

MAP


X11:Y16 フェルナスの部下


X02:Y22 フェルナスの部下
X11:X14 鍵のかかった扉
X11:Y16 大神官サラ

ダルディークは大神官の部屋にたどり着いた。しかし、話は少し前に戻る‥‥‥‥‥‥

サラ「大丈夫ですか、フェルナス」
フェルナス「ク‥‥‥な、なんとかね」
サラ「無理をして。凄い脂汗ですよ」
フェルナス「意地悪だな、姉さんも‥‥‥痛たたた! もっと優しくしてくれよ」
サラ「ファーナさんのように?」
フェルナス「な、何を言い出すんだよ!?」
サラ「フフフ‥‥‥照れちゃって」
フェルナス「まいったな、まったく、痛たたたた‥‥‥笑うと痛いよ」
サラ「本当にファーナさんは優しい‥‥‥‥‥‥」
フェルナス「ん? どうしたんだい、姉さん?」
サラ「え? 感じないの?」
フェルナス「何がだい?」
サラ『こんな巨大な邪気に気付かないなんて、予想以上にフェルナスの傷は深いんだわ‥‥‥何とかしなくては』
フェルナス「姉さん?」
サラ『ダメだわ。いまのこの子には、ダルディークを倒すどころか、簡単に殺されてしまう』
フェルナス「‥‥‥‥‥‥」
サラ「フェルナス」
フェルナス「な、何だい、いきなり真剣な顔になって‥‥‥」
サラ「新しい魔法を試してみたいんだけど」
フェルナス「え? 俺が実験台ってわけ?」
サラ「大丈夫よ、すぐに済むから」
フェルナス「すぐに済むって言っても‥‥‥ね、姉さん!」
サラの手から温かい光が溢れ出し、みるみるフェルナスの身体を包んでいく。その光は、まるで昼下がりの温かい陽光のようであり、その瞬間フェルナスは、もの凄い睡魔に襲われた。
フェルナス「ね、姉さん‥‥‥‥‥‥」
サラ「御免なさい、フェルナス‥‥‥あなたをここで死なせるわけにはいかないわ」
フェルナス「ね‥‥‥姉‥‥‥さん‥‥‥‥‥‥」
サラ「あなたは私たちの希望の光。真の闇に打ち勝てるのは、あなただけなのよフェルナス」
サラはゆっくりと崩れ落ちるフェルナスの身体を優しく抱きかかえると、僧兵たちにフェルナスを預けた。
サラ「いまならまだ脱出できるでしょう‥‥‥私が時間をかせげればですが‥‥‥‥‥‥」
それからしばらくしての事だった。ダルディークがこの部屋に入って来たのは‥‥‥。

ダルディーク「部屋に入った途端の奇襲攻撃。女ながら、なかなかだったな」
サラ「クゥ‥‥‥‥‥‥」
ダルディーク「貴様がフェルナスの姉、大神官サラだな」
サラ「フェルナスはもう居ないわ!」
ダルディーク「どうやらそのようだな」
サラ「あなたにフェルナスを渡すわけにはいかない」
ダルディーク「フェルナスが唯一の、光の剣の使い手だからか?」
サラ「そ、それをなぜ?」
ダルディーク「フフフフ、確かに正しい選択の様だ。しかし、その自分の身を挺した行動が、裏目に出る事を知るがいい」
サラ「どういう意味なの?」
ダルディーク「すぐに分かる‥‥‥連れて行け!」
大神官サラまでもが、捕らわれの身となってしまった。その事は、目を覚ましたフェルナスの耳に、衝撃と共に入ることとなる。フェルナスは、サラを命に代えても助け出す事を誓うのだった。

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第一〇章 大神官救出作戦

Introduction

 ダルディークは、大神官サラを攻めにくい山奥の寺院から、わざわざ草原の小さな城へと移した。さらに、その警備には炎龍ルーラと僅かな兵を残しただけで、ダルディークは光側の居城へと進軍を開始した。一方フェルナスは、傷の完治を待たずして、サラを救出するために急編成の光軍救出部隊と共に、草原の小さな城へと向かった。炎龍ルーラは少ない兵とともに必死に防戦したが、急編成とはいえ大規模な救出部隊の前に、とうとう城への侵入を許してしまう。大神官サラ救出も時間の問題だと思われたその時、突然ダルディークの本隊が城を包囲したのだった。ダルディークはフェルナスが草原の城を攻めたと同時に、すぐさま軍勢を反転させたのだった。
ダルディーク「こんな単純な罠に、まさか本当にかかるとはな」
城を落としたはずの大神官救出部隊だったが、一転して、その城に篭城する立場となってしまったのだった。ダルディーク「フェルナスはあのちっぽけな城の中だ、姉のサラと共に殺せ!」

MAP

X04:Y12 大神官救出部隊隊長

ダルディークは扉を開け、大神官サラを閉じ込めている部屋へと入った。その後に、黒龍の騎士ザーシュも続く。広々とした部屋の中央の壁には、大神官サラが裸で張り付けられていた。どうやら救出部隊は、まだここまでたどり着いていないようだ。

ザーシュ「よかった。まだ大神官は助け出されてない」
ザーシュが安堵のため息をもらすと、部屋の中へ炎龍の騎士ルーラが駆け込んできた。
ルーラ「も、申し訳ありません、ダルディーク様」
ダルディーク「何も謝る事はない。サラはこの通り無事なのだからな」
ルーラ「あ、ありがとうございます! すぐに光軍のネズミどもは始末しますので」
その時、炎龍の部下が部屋へ飛び込んで来た。
炎龍の部下「申し上げます! ただいま救出部隊の隊長が脱出を試みましたが失敗。現在は城の中庭に追いつめました!」
ルーラ「よし、分かった! ダルディーク様‥‥‥」
ダルディーク「うむ。私が行こう」
ルーラ「何もダルディーク様自ら出向く相手では‥‥‥」
ダルディーク「同じ事を二度言わせる気か?」
ルーラ「わ、分かりました。それでは私はここに残り、この大神官を‥‥‥」
ダルディーク「いや。お前も来い‥‥‥ザーシュもだ」
ザーシュ「し、しかし、誰がまた救出に来るか‥‥‥」
ダルディーク「命令だ」
ザーシュ「わ、分かりました」
ダルディークたちは、大神官の部屋を出ると、中庭へと向かった。

救出部隊隊長「ええーい、ひるむな! 一点を集中して活路を開くのだ!!」
中庭では、救出部隊の生き残りを囲んで、壮絶な戦いが繰り広げられていた。
ダルディーク「わざわざこんな城まで、ご苦労だったな」
救出部隊隊長「き、貴様は、ダルディーク!!」
ダルディーク「私自ら貴様の様な雑魚を始末してやるのだ、有難いと思え」
救出部隊隊長「ほざけ! 返り打ちにしてくれるわっ!」

救出部隊隊長「ググ‥‥‥これで勝ったと思うなよ?」
ザーシュ「なに?」
救出部隊隊長「今ごろはフェルナス殿が、見事、神官サラ様を助けだしているだろうよ‥‥‥グハッ!」
それだけ言うと救出部隊隊長は、満足そうに息絶えた。
ザーシュ「し、しまった! ダ、ダルディーク様!!」
ダルディーク「ほうっておけ」
ザーシュ「し、しかし‥‥‥ま、まさか、神官に何か‥‥‥」
ダルディーク「フフフフ、これでフェルナスは死ぬ。いや、例え死ななくとも、死よりも苦しいものが待っている」
ザーシュ「‥‥‥‥‥‥」

フェルナス「ね、姉さん!」
サラ「‥‥‥‥‥‥」
フェルナス「く、くそぉダルディークめっ! なんて酷い事を‥‥‥しっかりしてくれ、姉さん!」
サラ「‥‥‥‥‥‥ウ、ウゥーン」
フェルナス「姉さん! しっかり!」
サラ「‥‥‥ウ、ウゥーン‥‥‥‥‥‥フェ、フェルナス?」
フェルナス「よかった! すぐ助けるから」
フェルナスはサラを縛り上げていた鎖を必死に外し、床に捨ててあった服を着させた。細かく震えるサラの身体を優しく抱きしめると、ゆっくりと魔法を唱え始めた。傷ついた身体のフェルナスだが、空間移動の魔法だけは、何とか使える事が出来た。しかし、それでも身体にかなりの負担がかかるものだった。そして、魔法で城の郊外に出たとき、その悲劇は始まった。

フェルナス「ね、姉さん!?」
サラ「‥‥‥‥‥‥」
フェルナス「何をするんだ、姉さん!? 危ないから剣をしまうんだ!」
しかし、サラは何も答えず、ゆっくりとフェルナスに近づいてくる。
フェルナス「ま、まさかダルディークが‥‥‥」
そう、神官サラはダルディークの術にはまり、操られているのだった。
フェルナス「姉さんはトップクラスの神官なのに‥‥‥それを操るほどの能力がダルディークにはあるというのか‥‥‥」
なおもサラはフェルナスに近づいてくる。
フェルナス「やめるんだ、姉さん!」
フェルナスの叫びも虚しく、サラの剣は無情にフェルナスを切りつける。魔法を使ったためフェルナスの身体は予想以上に弱っており、思うように剣を避けられない。
フェルナス「グゥクゥッ! ね、姉さん‥‥‥」
相手がサラだけに、フェルナスは何の抵抗も出来ないまま、いいように切りつけられていった。そして、次第にサラの攻撃は激しさを増し、フェルナスの疲労は頂点に達する。
フェルナス「グワァ!!」
ダルディークにやられた肩の傷口への一撃で、フェルナスはとうとう地面にひざまずいた。そのフェルナスの頭をめがけ、サラの剣が空を切った。
フェルナス「姉さん!!」
フェルナスが死を覚悟したとき、サラの剣が止まった。
フェルナス「ね、姉さん‥‥‥‥‥‥」
サラは叫び声をあげると、剣を落し、地面に崩れた。
フェルナス「姉さん!!」

フェルナス「姉さん! しっかりしてくれ!!」
サラ「フェ、フェルナス‥‥‥‥‥‥御免なさい」
フェルナス「何を言ってるんだ。それよりしっかりしてくれよ、姉さん」
サラ「ダルディークは恐ろしい男よ。 私も命をかけて術を破るのが精一杯だったわ」
フェルナス「なにを言うんだよ。姉さんがダルディークなんかに負けるわけがないだろ。いまはちょっと疲れただけさ」
サラ「フェルナス‥‥‥優しいフェルナス。その優しさを忘れないで‥‥‥人々がその優しさを忘れたとき‥‥‥その時が‥‥‥」
フェルナス「ね、姉さん?」
サラ「‥‥‥‥‥‥」
フェルナス「ねぇぇぇぇさぁぁぁぁぁぁぁぁぁん!!」

フェルナスは、サラの死に叫んだ。身体中の傷も極度の疲労も忘れ、叫び続けた。神官サラの死は、光側にとってかなりの痛手となった。ダルディークは、神官サラ死亡の知らせを聞くと、満足そうにうなずいただけだったという。その日以来、フェルナスは姿を消してしまった。人々はフェルナスが逃げたと罵ったが、ダルディークは、それが自分への復讐の為だという事を知っていた。

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第一一章 呪われし暗黒の剣

Introduction

 やはり暗黒の剣は存在した。持った者の暗黒の力を引き出すと言われ、力無き者は剣に支配され発狂し絶命すると言われる、まさに呪われし剣。暗黒のよろいと共に前大戦で失われたと言われていたが、やはり光側はこの呪われた武具を完全に葬る事は出来なかったのだった。
 いま暗黒の剣は、前大戦の英雄でありフェルナスの父でもある、光の騎士ヴァームによって人里離れた古城に封印されていた。それを知ったダルディークは、侵攻を四龍の騎士に任せると、ヴァームの古城へと向かった。

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X15:Y09 ヴァーム

ヴァーム「とうとう来たか」
前大戦の英雄ヴァーム。老いてはいるものの、その眼に英雄の光は失われてはいなかった。ヴァームはダルディークの前に立ちはだかると、ゆっくりと剣を抜いた。
ダルディーク「暗黒の剣、頂こう」
ヴァーム「この命に代えても、この剣だけは渡さぬ」
ダルディーク「フン、すぐに命を口にする」
ヴァーム「それだけこの剣を守る価値はある」
ダルディーク「つけあがるな。貴様の命、虫ほどの価値もない」
ヴァーム「黙れ! ゆくぞ!!」

ヴァーム「グクゥ‥‥‥」
歳はとっていても、前大戦の英雄であるヴァームは、ダルディークと互角の戦いを繰り広げた。そこでダルディークは、ただ攻撃を受け流すだけに専念し、戦いを長期戦に持ち込んだ。互角の勝負を演じていたヴァームも流石に老いには勝てず、次第に息を切らし始めた。
ダルディーク「やはり老いには勝てぬようだな、ヴァーム」
ヴァーム「おのれぇ‥‥‥」
その時、数人の騎士が部屋の中になだれ込んで来た。

古城の騎士「ヴァーム様! ここは我々が食い止めます。どうか剣を持ってお逃げ下さい!」
ヴァーム「すまぬ」
ダルディーク「犬の様に逃げるか、ヴァーム! 光の者にしては、随分と卑怯な行動だな」
古城の騎士「黙れ! 私が相手だ! いくぞ!!」

さらにもう一人の騎士が襲ってきた。

ダルディーク「雑魚どもが!」
騎士たちは倒したが、ヴァームの姿は既に無かった。
ダルディーク「フッ‥‥‥それにしても、親子でよく逃げる奴らだ」
しかし、ヴァームの足取りは、ダルディークの張り巡らしたスパイ網によって、すぐに掴める事になるのだった。

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第一二章 迷いの森シャーナック

Introduction

 ヴァームは暗黒の剣を持ち古城を脱出した。脱出した先にはうっそうとした森、シャーナックが広がっており、その地下には巨大な迷宮があった。その迷宮にはエルフの魔法がかけられており、邪悪な者が踏み込むと、永遠に迷い続けると言われていた。

MAP


X01:Y27 行き止まり
X11:Y37 行き止まり
X20:Y37 行き止まり

シャーナックの迷宮にかけられた魔法を解く為に、ダルディークはエルフの村へと向かった。
(3か所の行き止まりを巡ると次の省へ進みます)

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第一三章 エルフの迷宮

Introduction

 シャーナックの森の地下には二つの迷宮がある。一つはヴァームが逃げ込んだ、森の砦に続く迷いの迷宮。そしてもう一つは、エルフの村へ続く迷宮である。その迷宮の入口を前にして、ダルディークは黒龍の騎士ザーシュを呼び寄せた。
ダルディーク「エルフの村を見つけたら、密かにその村を包囲しろ」
ザーシュ「分かりました」
いまダルディークは、迷宮を通りエルフの村を目指す。

MAP


X00:Y01 エルフの長老

長く暗い迷宮の先に、エルフの村はあった。村へ入るダルディークの後ろに黒龍ザーシュも続く。すると、二人の前に、エルフの長老が立ちはだかった。
エルフ長老「邪悪な者よ、この村になに用があって来た」
ダルディーク「魔法を、シャーナックの迷宮にかけた魔法を解いてもらおうか」
エルフ長老「それは不可能じゃ。あの魔法は、もはや誰にも解く事は出来ん」
ダルディーク「なるほど‥‥‥」
そこに黒龍ザーシュが、エルフの娘をつれてやって来た。
ザーシュ「長老の孫娘です」
エルフ長老「ムムッ‥‥‥‥‥‥」
ダルディーク「長老よ、もう一度聞こう。魔法の解き方は?」
エルフ長老「何度言っても同じじゃ。あの魔法は解けん」
ダルディーク「ほう‥‥‥では、これでもかっ!?」

孫娘「きゃあぁぁぁぁ!!」
エルフ長老「ひ、卑劣な事をっ!」
ダルディーク「魔法を解く気になったか?」
エルフ長老「何をしても同じじゃ! あの魔法は誰にも解けん!!」
ダルディーク「‥‥‥‥‥‥」
ザーシュ「ダルディーク様、本当にあの魔法は解けないのでは‥‥‥」
ダルディーク「そう思うか?」
ザーシュ「え?」

ダルディーク「流石は長老だ。この分では何をやっても喋らんだろうな」
エルフ長老「‥‥‥‥‥‥」
ダルディーク「しかし、貴様にだけ喋らす必要はない」
エルフ長老「なんだと?」
ダルディークは剣を抜き、エルフの長老に振り下ろした。
エルフ長老「グハッ!」
鈍い音がして、ダルディークの剣は長老の肩に食い込む。刃を寝かせていた為に身体は切れなかったが、老人の身体にはかなりのダメージのはずだ。
エルフ長老「む、無駄じゃ‥‥‥たとえ殺されても、あの魔法は解けん」
ダルディーク「貴様に聞く必要はないと言った‥‥‥今度は、殺す」
さらにダルディークの剣が振り上げられ、長老の頭めがけ下ろされる。
孫娘「やめて!」

長老の孫娘がダルディークと長老の間に割って入った。
ダルディーク「どけ」
孫娘「やめて下さい! 魔法の解除方法なら、私がお話します!」
エルフ長老「や、やめるんじゃ!」
ダルディーク「貴様は黙っていろ。 それで、その方法とは?」
孫娘「この宝石を迷宮の行き止まりで使えば、新たな道が開けます。」
ダルディークはエルフの宝石を手にいれた。
エルフ長老「あぁ‥‥‥‥‥‥」
ダルディーク「魔法は誰にも解けないとは、よく言ったものだな長老」
エルフ長老「‥‥‥‥‥‥‥‥‥」
ダルディーク「‥‥‥‥‥‥ザーシュ!」
ザーシュ「はっ!」
ダルディーク「この村に火を放ち、全員‥‥‥‥‥‥殺せ」
ザーシュ「分かりました」
エルフ長老「な、何をっ!」
孫娘「そんな酷い! 魔法の解除方法を教えたじゃないですか!」
ダルディーク「だから、なんだ? そんなものが殺さない理由になるとでも思っていたのか?」
エルフ長老「お、おのれぇ‥‥‥」
孫娘「も、もう‥‥‥ゆるさないっ!」
エルフ長老「や、やめるんじゃ!」

孫娘「あぁ‥‥‥」
エルフ長老「だ、大丈夫か」
ダルディーク「貴様らは、何があっても闇に従うという事はないだろう」
エルフ長老「あ、当り前じゃ!」
ダルディーク「だから殺すのだ。反乱の芽を摘み取るのは早い方がいい」
エルフ長老「ク、クゥ‥‥‥‥‥‥」

こうして村は燃やされ、エルフたちは全員殺された。この話は、エルフ村の惨事として、語り継がれる事になる。

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第一四章 森の砦へ

Introduction

 エルフの宝石を手にいれたダルディークは、再び、森の砦へと続く迷いの森シャーナックの地下迷宮へと向かった。

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X01:Y37 行き止まり
X11:Y37 行き止まり
X20:Y37 行き止まり
X00:Y00 森の出口

ダルディーク「光?」
天井から光が差し込んでおり、それに向かって階段が伸びていた。ダルディークはその階段を上り、地上へと出る。
ようやくシャーナックの迷宮を抜けたダルディークの前に、その砦は建っていた。
ダルディーク「ヴァームよ、今度は逃がさんぞ」
これから暗黒の剣をめぐる、ダルディークとヴァームの死闘が始まろうとしていた。

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第一五章 英雄ヴァームの最後

Introduction

 シャーナックの森に守られた砦。エルフの魔法によって守り続けられたその砦が、いまダルディークの手によって、壮絶な戦いの場になろうとしていた。

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X12:Y11 ヴァームの騎士


X12:Y12 ヴァームの騎士


X06:Y08 ヴァーム

ダルディークとヴァーム‥‥‥再び対決の場がやってきた。
ダルディーク「やっと会えたな。老いても逃げ足だけは健在の様だ」
ヴァーム「貴様も随分と執念深いな」
ダルディーク「その剣が私を呼ぶのだ。自分を目覚めさせよとな」
ヴァーム「目覚められては困るのだ。この呪われた剣がな」
ダルディーク「話すだけ無駄な様だな。貴様の命、その剣の生けにえにしてくれる」
ヴァーム「ほざくな、若造。 今度こそ、貴様の野望を潰す!」

突然ヴァームが咳こんで倒れた。その口から血が落ちる。
ヴァーム「ゲホッゲホッ!‥‥‥クゥ、こんな時に‥‥‥」
ダルディーク「私の剣に倒れる前に、病に倒れたか、ヴァーム。」
ヴァーム「おのれぇ‥‥‥」
ダルディーク「私の剣を汚すこともあるまい。残り短い命、大切にするんだな‥‥‥剣はもらって行くぞ」
ヴァーム「そ、それだけは‥‥‥それだけはさせん!」

ヴァーム「ぐぅおぉぉぉぉぉぉぉぉぉ!!」
ダルディーク「なにぃ!」
ヴァームは暗黒の剣を掴むと、自分の胸に突き刺した。
ダルディーク「血迷ったか、ヴァーム!」
ヴァーム「グウゥ‥‥‥せめて、この命で‥‥‥剣を‥‥‥この邪悪な剣を‥‥‥封印してくれる!」
ダルディーク「なにをバカな‥‥‥」
ヴァーム「ぐわぁぁぁぁぁぁぁぁ!!」
ヴァームの胸から噴き出す血が、みるみる暗黒の剣を染めていくと、たちまち剣は錆だした。
そして、ヴァームはゆっくりと息をひきとった。

ダルディーク「おのれぇヴァーム。暗黒の剣は、完全に沈黙した‥‥‥」
ダルディーク「しかし、流石は前大戦の英雄だ。まさか自分の命で封印するとはな」

英雄ヴァームの命がけの行動によって、暗黒の剣は封印された。しかし、暗黒の剣は死んだわけではないのだ。ヴァームの命をもってしても、ダルディークの野望を止める事は、出来ないのだろうか‥‥‥。

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第一六章 よみがえる暗黒の剣

Introduction

 ヴァームによって封印された暗黒の剣は、いかなる魔法によっても復活させることは出来なかった。そんななか、バラク山に住む幻の剣職人の噂を聞きつけ、ダルディークはさっそくバラク山へと向かったのだった。

MAP


X06:Y15 鍵のかかった扉
X30:Y27 剣職人


X00:Y00

剣職人「おや、こんな所にお客さんとは珍しい」
ダルディーク「こんな洞窟の奥に鍛冶屋がいるのも珍しいな」
剣職人「ハハハ、もっともだ‥‥‥それで、この私に何か様かな?」
ダルディーク「この剣を生き返らせてもらいたい」
剣職人「おお、それは暗黒の剣‥‥‥うーむ、封印されてはいるが、やはり見事な剣だ」
ダルディーク「邪悪の剣でもかね」
剣職人「私にとって善悪など問題ではない。問題なのは、その剣がすばらしいかどうかなのだ」
ダルディーク「なるほど。で、どうなのだ?」
剣職人「うーむ、もの凄い熱でねっすれば、なんとかなるかもしれんが‥‥‥」
ダルディーク「が?」
剣職人「人間にその高温を作り出すのは無理。もちろん魔法でも‥‥‥」
ダルディーク「‥‥‥‥‥‥‥‥‥」
剣職人「しかし、バラク山の火口なら、その熱を得られるかもしれない」
ダルディーク「火口?」
剣職人「そうだ。しかし、いまはそのバラク山の活動も治まってきている。はたして、それほどの熱を発しているかどうか‥‥‥」
ダルディーク「分かった。ともかく行ってみよう」
剣職人「気を付けろ。火口には番人がいるぞ」
ダルディーク「忠告なら、その番人にするんだな」
剣職人「フフ、なるほど。それでは、この鍵を持って行くといい。これで洞窟の先、つまりバラク山の火口へ行ける」
ダルディークは洞窟の鍵を手に入れた。
血武E人「この洞窟のさらに下に、私が20年かかってトンネルを掘ったのだ。しかし、あの悪魔の様な番人がいて、結局、火口へはたどり着けなかった」
剣職人「あの火口の熱を獲られれば、すばらしい剣が出来ると思うのだが‥‥‥まぁ、せいぜいあの番人にやられない様、頑張る事だな」


洞窟を抜けると、突然、熱風が吹き付けてきた。バラク山の火口にたどり着いたのだ。と、その時、火口の溶岩から、悪魔の様なモンスターが飛び出してきた。
火口の番人「この火口へは、誰も近づけさせんぞ!」

火口の番人は、絶叫と共に溶岩の中へ沈んでいき、二度と浮かび上がる事はなかった。
ダルディークが火口に近づくと、いままでおさまっていた火口が、突然煮えたち始めた。
ダルディーク「もの凄い熱だ。これならば‥‥‥」

ダルディークは暗黒の剣の、その錆び付いた様な刃を見つめる。
ダルディーク「ヴァームの執念というやつか‥‥‥しかし、ここまでてこずるとは思わなかったな」
ダルディークは、ゆっくりと火口に剣を入れる。剣は溶岩に浸かると、真っ赤に燃え上がった。そして大きく震えると、ダルディークを火口に引きずり込もうとする。
ダルディーク「ぬぅ! 甦えれ、暗黒の剣よ!!」

ダルディーク「フッ‥‥‥フフッ、ハッハッハッハッハッハッ!」
ダルディーク「見よ、この妖光を! 見よ、この妖気を!!」
ダルディーク「この気の凄さ‥‥‥まさに邪剣、暗黒の剣よ」
ダルディーク「この剣に、人間どもの血を吸わしてやろう。たっぷりとな‥‥‥」

とうとう暗黒の剣は復活した。全ての光の者を抹殺すると言われているこの剣に、前大戦、対抗出来たのは奇跡と言われている。しかし、光側にも強力な剣はあったのだ。光の剣という、正義の剣が‥‥‥。

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第一七章 争奪 光の剣

Introduction

 フェルナスの消息とともに、重大な情報が手に入った。暗黒の剣と互角に渡り合う事が出来るという『光の剣』が、存在したのだった。しかも、フェルナスは厳しい修行の末、その剣の継承者になったというのだ。
ダルディークは、フェルナスが光の剣を入手するのを阻止するべく、光の剣が保管されているという光の神殿へと急いだ。

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X04:Y09 フェルナス

フェルナス「ダルディーク!」
ダルディーク「どうやら一歩遅かった様だな」
フェルナス「光の剣の存在を、犬の様に嗅ぎ付けたか」
ダルディーク「その剣、もらおうか」
フェルナス「取れるものなら取ってみるんだな」
ダルディーク「おもしろい」
フェルナス「もう、いままでの俺とは違う。この光の剣さえあれば、貴様などに負けはしない!」
ダルディーク「私もこうして暗黒の剣を手にいれた。つまり状況は一緒なわけだ。後は実力の差という事だ」
フェルナス「貴様にだけは‥‥‥貴様にだけは絶対に負けん! 行くぞ!!」

ダルディーク「ヌゥ‥‥‥‥‥‥」
フェルナス「グクゥ‥‥‥‥‥‥クッ!」
ダルディークとフェルナスの戦いは双方一歩も譲らない、膠着状態にあった。戦闘はすでに3時間にも及んでいるのだ。
ダルディーク「貴様、強くなったな‥‥‥いや、その剣が強いのか」
フェルナス「貴様のそのパワーも、その邪剣に魂を売って得た力だろ」
ダルディーク「違うな。魂を売ったのは、この剣の方だ」
フェルナス「ぬかせ!」
二人には分かっていた。この戦いに決着がつかない事を‥‥‥。しかし、先に剣を引いた者が死ぬ事も分かっていた。それからさらに時がたったとき、黒龍の騎士ザーシュが、ダルディークが遅いのを心配し、この神殿へとやってきた。
ザーシュ「ダルディーク様!」
ダルディーク「良いところへ来た、ザーシュ。このフェルナスを殺せ。今ならお前でも勝てるぞ」
フェルナス「汚いぞ、ダルディーク!」
ダルディーク「殺し合いに綺麗も汚いもあるか」
フェルナス「おのれぇ!」
ザーシュがフェルナスに切りかかろうとしたそのとき、フェルナスの部下たちが、部屋になだれ込んで来た。戦闘は大人数の大乱戦となり、そのどさくさに紛れダルディークは神殿を後にした。そう、ダルディークの体力は限界に達していたのだ。もちろんフェルナスも例外ではなく、部下に助けられ、なんとかザーシュの追撃を振り切ったのだった。

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第一八章 紅の軍師 暗殺指令

Introduction

 順調かと思われたダルディークの進軍を塞ぐ者が現れた。

島のほぼ中央に居城を構える国、ランストンの軍を指揮する『紅の軍師』がそうである。紅の軍師とは、その名の示す通り真っ赤な服に身を包んだ軍師であり、その指揮能力は光軍一とされていた。
紅の軍師「左翼の部隊に伝令! 突出しすぎだ! 丘まで後退させろ!」
伝令「分かりました!」
紅の軍師「フフン! 所詮、バケ物の集まりだ。規律の取れた我が部隊に勝てるわけが無かろう」
伝令「報告します! 敵の部隊が後退を始めました! 部隊長が追撃許可を求めております!」
紅の軍師「ならん! 全部隊に伝達! その場で防御陣形をひき待機!!」
伝令「し、しかし‥‥‥‥‥‥」
紅の軍師「勝つ必要はない。あと3日、いや2日もてば、アフロースの大部隊が到着する。そうすれば、我々の勝ちは決まったも同然」
紅の軍師「しかし、いま勝ちすぎれば、ダルディークの本隊が出て来ることになる」
紅の軍師「そうなれば、負けはしないだろうが、かなりの被害が出るだろう」
紅の軍師「いいか、絶対に追撃は禁止だ! 本隊が到着するまではな!!」
伝令「分かりました!」
紅の軍師「ダルディークめ‥‥‥貴様の命もあと2日だ」


 しかし、その不自然な防戦一辺倒な戦いの真意を、ダルディークは見抜いていた。ダルディークは夜になると大規模な夜襲をかけた。その混乱の中、密命をおびた黒龍の騎士ザーシュが、紅の軍師が篭る城へと潜入した。その密命とは、紅の軍師暗殺‥‥‥‥‥‥ザーシュは城の2階の窓より、城内へと忍び込んだ。
※これより、プレイヤーは『黒龍の騎士ザーシュ』に代わります。

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X10:Y11 ベッド

その部屋に忍び込むと、ベッドに人が寝ているのに気付いた。ザーシュは剣を抜くとベッドに近づき、一気にベッドの盛り上がりへと突き立てた。
ザーシュ「ん?」ザーシュはもう一度、ベッドに剣を突き立てた。剣の手ごたえがまったくと言っていいほど無かったのだ。
ザーシュ「‥‥‥‥‥‥‥‥‥」
ザーシュは慌ててベッドのシーツをはぎ取った。

ザーシュ「お、おのれぇ‥‥‥バカにしおって!」
ベッドに寝ていたのは、ただの縄で縛られたクッションであった。そのクッションを憎々しくにらんでいたザーシュの表情が、緊張に変わった。
ザーシュ「謀られたか‥‥‥」
ザーシュは、いまや部屋を取り囲む様にして立つ、十数人の気配を感じていた。一方、そのころ‥‥‥‥‥‥

紅の軍師「フフフフフフ、ネズミめ。いまごろは袋叩きに合っている事だろう」
紅の軍師「それを考えると、今日のワインも一段と美味いな」
男の声「ネズミは一匹とは限らんぞ」
紅の軍師「なにっ!?」

紅の軍師「ぐはっ!」
ダルディークの剣が椅子ごしに紅の軍師の胸を貫いた。軍師はワイングラスを落とすと、力なくゆっくりと崩れ落ちた。
ダルディーク「最後のワインだ。さぞや美味かった事だろうな」
ダルディークを戦術面で苦しめた紅の軍師にしては、実にあっけない最後となってしまった。ダルディークが剣についた血を拭っていると、黒龍ザーシュが部屋に入って来た。

ザーシュ「ダ、ダルディーク様!」
ダルディーク「ご苦労だったな、ザーシュ。お前のおかげで軍師の部屋になんなく潜入出来た」
ザーシュ「いえ、それは別に‥‥‥」
ダルディーク「何人殺った」
ザーシュ「じゅう‥‥‥はち人です」
ダルディーク「そうか。どうりで疲れているわけだ」
ザーシュ「いえ、別に疲れては‥‥‥」
ダルディーク「次の作戦は休め。どうも私は、お前を使いすぎてしまうようだ」
ザーシュ「いえ、それは光栄です」
ダルディーク「そうか。ともかくいまは休むことだ」
ザーシュ「分かりました」

紅の軍師の死により、統率を失った光軍は、本隊を待たずして敗北した。アフロース率いる本隊の到着が、あと1日早ければ、ダルディークは敗れていただろう。運命は、ダルディークに傾き出していた。

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第一九章 重騎兵の塔

Introduction

 ダルディークの巧みな情報操作により、光軍の本隊を指揮するアフロースは、紅の軍師が死に部隊が壊滅したことを知らなかった。そのため光軍の本隊は、ランストンにあとわずかの距離にまでせまっていた。
 そこでダルディークは、ランストンの西にある塔と城を占領し、光軍の本隊を包囲する作戦に出たのだった。しかし、その塔を守る重騎兵は、全ての矢や剣を跳ね返してしまうのだった。そこでダルディークは、雷龍の騎士ラーディスに、塔の占領を命じた。
※これより、プレイヤーは『雷龍の騎士ラーディス』に代わります。

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X10:Y10 重騎兵

ラーディスの前に、よろいに身を包んだ巨大な重騎兵が立ちふさがる。
重騎兵「スゥーハァー‥‥‥今度の奴は‥‥‥スゥーハァー‥‥‥なかなかやりそうだな‥‥‥スゥーハァー」
ラーディス「大げさなよろいなんか着やがって。なんかの仮装行列か?」
重騎兵「葬儀衣装だよ‥‥‥スゥーハァー‥‥‥貴様の為のな‥‥‥スゥーハァー」
ラーディス「スーハーうるせぇ奴だな、このゼンソク野郎が!」
重騎兵「おのれぇ‥‥‥スゥーハァー‥‥‥かかってこい!」
ラーディス「おう! その頭、ザクロの様にかち割ってやる!!」
重騎兵「バカめ!‥‥‥スゥーハァー‥‥‥私のよろいは‥‥‥スゥーハァー‥‥‥全ての攻撃を跳ね返す‥‥‥スゥーハァー‥‥‥不死身のよろいなのだ!」
ラーディス「フン! 俺様にかかればそんなよろい、スライムの様なもんだ」
重騎兵「どうやら‥‥‥スゥーハァー‥‥‥脳みそまで筋肉で出来てる様だな‥‥‥スゥーハァー‥‥‥叩きのめしてやる、こい!」

重騎兵「ぐわぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!」
ラーディス「なにが不死身のよろいだ! スライムの方がよっぽど切りごたえがあるぜ!」
無敵を誇った重騎兵も、怪力ラーディスの前に破れ去った。

塔を占領したラーディスは、すぐに部隊を呼び寄せ陣を張った。ラーディスの部隊は重歩兵を基本にした守りに優れた部隊であり、この作戦には最適であった。

それと同時刻、森の城でも、もう一つの占領作戦が侵攻していた。

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第二〇章 疾風の三兄弟

Introduction

 光軍の本隊の背後を塞ぐもう一つの拠点は、森に囲まれた城である。その城には、疾風の三兄弟の威名をとる城主たちがいた。その兄弟ならではの息の合った三身一体攻撃は、どんな敏捷に優れた者でもかなわないと言われていた。いまその城に、氷龍の騎士アーリアが向かった。
※これより、プレイヤーは『氷龍の騎士アーリア』に代わります。

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X11:Y02 疾風の三兄弟

アーリアの前に緑色のよろいを着込んだ戦士があらわれた。
アーリア「あれが、疾風の三兄弟?」
疾風の戦士「邪悪な者め! 死ね!!」

アーリアが止めを刺そうとしたとき、疾風の戦士は物陰に飛び込んだ。
アーリア「逃げるか!?」
アーリアが物陰に行こうとしたとき、後ろから隠れたはずの戦士が襲いかかってきた。
疾風の戦士「なにをしている、私はここだ!」

アーリアが止めを刺そうとしたとき、またもや疾風の戦士は物陰に飛び込んだ。
アーリア「また!?」
アーリアが物陰に行こうとしたとき、今度は側面から隠れたはずの戦士が襲いかかってきた。
疾風の戦士「どこを狙っているんだ! 私はここだぞ!」

アーリア「三人で攻撃するとは、ずいぶんと卑怯な事ね」

疾風の戦士「ほほう流石だな」
アーリアの前に、三人の戦士が同時に姿を見せた。
アーリア「疾風の三兄弟‥‥‥」
疾風の三兄弟「そう、我らの攻撃は三身一体。この攻撃をいままでにかわされた事はない!」
アーリア「三人がかりとは、随分と情けない事だこと」
疾風の三兄弟「何とでも言え! 薄汚い貴様たちより、よっぽどマシだ」
アーリア「薄汚い? この私に向かって薄汚いですって‥‥‥」
疾風の三兄弟「ああ、そうだ! おまけに腹の中はドス黒いときてる」
アーリア「もう‥‥‥ゆるせませんね」
疾風の三兄弟「ゆるさんのはこっちだ! くらえ、三身一体攻撃!!」

疾風の三兄弟「おのれぇ、我々の攻撃をかわすとは‥‥‥」
アーリア「口ほどにも無い人たちね。笑っちゃうわ、ホホホホ!」
疾風の三兄弟「グゥ‥‥‥こうなったら同時に切りかかれ!」
疾風の三兄弟「弓矢は1回に1本しか射れん! 三人同時にかかれば、誰かが奴をしとめられる」
アーリア「とことん卑怯な人たちね。呆れるわ」
疾風の三兄弟「黙れ! くらえ、捨身の三身一体攻撃!!」

疾風の三兄弟「どわぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!」
アーリアから三本同時に矢がはなたれ、見事、三人の急所をつらぬいた。
疾風の三兄弟「バ、バカな‥‥‥」
アーリア「私もビックリよ。いままで、二本同時はあったけれど、三本同時は新記録だわ」
疾風の三兄弟は、アーリアの神業の前に敗れ去った。
アーリア「これでようやくダルディーク様のお役にたてたわ」

氷龍アーリアによって森の城が占領された事によって、光軍の本隊包囲網が完成した。アーリア率いる弓矢部隊は森の中に潜み、遠距離からの攻撃を開始した。

ダルディーク自らが陣頭指揮をとり、光軍殲滅作戦が開始されたのだ。ダルディークは敵を全滅させる為に、あえて攻め入ろうとはしなかった。敵の三方面を囲んだダルディークは守りを固め持久戦に持ち込む。光軍はこのままでは消耗するばかりと、攻撃を一点に集中し、包囲網突破を試みる。しかし、どこかの一点に攻撃を集中すると、他の二点に背後から猛攻撃を受けるのだった。その攻撃に対して反撃に出ると、今度は先ほどまで攻めていた敵に背後を襲われるという、悪循環を繰り返すばかりだった。長い強行軍の疲れもあり、次第に光軍は消耗していくのだった。

アフロース「ええーい、怯むな! 陣形を崩すな!!」
指揮官であるアフロースは懸命に指揮を取ったが、このままでは部隊が全滅するのは目に見えていた。時がたつにつれて、焦りからか指揮官であるアフロースが、最前線に姿を見せる事が多くなってきた。それをいち早く見つけたのは、氷龍アーリアであった。

アーリア「あれは指揮官のアフロース!」
アーリア「アフロースさえ落とせば、こんな衰弱しきった部隊など‥‥‥」

ダルディーク「ん?」
ダルディークは思わず身を乗り出していた。森に篭っていたはずのアーリアが森を飛び出し、敵の真っただ中に攻め込んだのである。
ダルディーク「バカな! 作戦はほぼ完了していたのだぞ!!」

その変化に、アフロースも迅速に反応していた。
アフロース「しめた! 全軍、あの森を目指せ!! 一点突破だ!!」
光軍とアーリアの部隊は、正面から激しくぶつかった。接近戦に弱い弓矢部隊は、次々と光軍に突破されていった。
アフロース「頑張れ! ここを突破すれば逃げきれる!!」

この事態にアーリアは微動だにせず、ただ一点を弓で狙っていた。
アーリア「雑魚はいい、雑魚は。狙うは、アフロースただ一人のみ!」
射程距離にアフロースが入っても、アーリアはうたなかった。必勝をきすためには、もっと近づける必要があった。狙われているのを知らずにアフロースは、ぐんぐんとアーリアに近づいて行く。
アーリア「いま! この距離なら絶対に外す事はないわ!!」
アーリアの手から矢が放たれたその瞬間、アフロースの馬が大きな石を踏み、激しく横に滑った。
アーリア「そ、そんな!!」

アーリアの放った矢は横に外れ、アフロースのよろい肩部分に刺さっただけだった。呆然と立ち尽くすアーリアの前を、馬にまたがったアフロースが駆け抜けていく。それは一瞬の出来事であったが、アーリアにとっては永遠の時間の様に感じられた。その間にもアフロースをはじめ光軍の生き残りが、次々と森の中へと姿を消していった。

親衛隊員「このままではアーリア様の部隊は全滅します。救援の部隊を出しましょうか?」
ダルディーク「ほうっておけ!」
親衛隊員「し、しかし‥‥‥‥‥‥」
ダルディーク「全軍に退却命令‥‥‥すぐにだ」
ダルディークはそれだけ言うと、さっさと城に入ってしまった。

アフロースの部隊は全滅を免れ、要塞都市へと逃げ込んだのだった。

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第二一章 難攻不落 光軍大要塞

Introduction

氷龍の騎士アーリアは、なんとか生きて帰りついたが、部下のほとんどは返らなかった。ダルディークの前に膝まずいたアーリアは、すでに死を覚悟していた。
ダルディーク「貴様、何をしたか分かっているんだろうな?」
アーリア「はい‥‥‥分かっております」
ダルディーク「それでは、なぜ私の前に現れた」
アーリア「はい、自害する事も考えましたが、その前に一言ダルディーク様にお詫びをしたく‥‥‥こうして、恥を忍んでまいりました」
ダルディーク「詫びはもういい。後は形で示せ」
アーリア「わ、分かりました」
ザーシュ「お待ち下さい、ダルディーク様」

アーリア「ザ、ザーシュ?」
ダルディーク「なんだ、ザーシュ」
ザーシュ「おそれながれダルディーク様。確かにアーリアは命令を無視しました。しかし、それはダルディーク様を想えばこその行動」
ダルディーク「理由などどうでもいい。私の命令を無視したという事が問題なのだ」
ザーシュ「しかし、ここでアーリアが消える事は、ダルディーク様にとってもかなりの損失となりましょう」
ダルディーク「‥‥‥‥‥‥‥‥‥」
ザーシュ「もう一度だけ、このアーリアに機会を与えてやって下さい。もし、また勝手な行動を取ったならば、このザーシュの命にかえても‥‥‥」
ダルディーク「もういい、分かった」
ザーシュ「‥‥‥‥‥‥‥‥‥」
ダルディーク「アーリアにはいま一度、機会を与えよう」
ザーシュ「あ、ありがとうございます」
ダルディーク「勘違いするな。アーリアにはまだ利用価値がある。ただそれだけだ」
つまりそれは、アーリアはまだダルディークにとって必要な存在であると言うことであった。

アーリア「あ、ありがとうございます‥‥‥」
改めてアーリアは、ダルディークに命を捧げる事を誓うのだった。


 大規模なアフロース追撃戦が始まった。しかし、アフロースは要塞都市に立て篭り、まったく出てこようとはしなかった。

巨大な要塞都市は、高く厚い塀に覆われており、いかにダルディークの大部隊でしても、城壁に傷をつけるのが精一杯であった。まさに難攻不落の大要塞都市。
ダルディーク「しかし、得てしてああいう物は、中からの攻撃に弱いものだ」
ダルディークは、要塞都市付近に点在する村々を、次々と焼き払った。さらに、村々を追われた難民を追い立て、要塞都市へと向かわせたのだった。

兵士「大変です、指令官!」
アフロース「どうしたの? またダルディークの無駄な攻撃が始まったんでしょう」
兵士「ち、違います! 人です! もの凄い数の人が!」
アフロース「人?」
兵士「いま情報が入りました。 ダルディークは付近の村々を次々に焼き払っているようです」
アフロース「なんて事を! この人たちは、その難民というわけね」
兵士「この要塞都市に向かっていますが、収容しますか?」
アフロース「ダメよ! その混乱に乗じてダルディークは、この要塞都市に入り込むつもりよ。それが奴の作戦だわ」
兵士「し、しかし‥‥‥‥‥‥」
そこに、偵察に出ていた兵士が駆け込んできた。
偵察兵「た、大変です! ダルディークは、難民たちを攻撃し出しました!!」
アフロース「なんですって!?」
兵士「む、無差別に攻撃しています! あれは虐殺です!!」
アフロース「な、なんという卑劣な事を!!」

ダルディークたちの攻撃に難民たちはパニックに陥っていた。悲鳴と怒号が飛びかい、人々は我先にと要塞都市を目指した。

その難民の中に、ダルディークと黒龍の騎士ザーシュがいた。
ザーシュ「やはり、門を開きませんね」
ダルディーク「いや、開く。奴らは人の命というものを必要以上に尊重し過ぎる傾向がある。この殺戮を静観できるはずがない」
ザーシュ「しかし、この難民を助けようとすれば、それ以上の犠牲が出ます」
ダルディーク「そこが奴らの矛盾したところだ。多くの犠牲より、小数の命を救ったという行動の方が優るのだ」
ザーシュ「愚かな‥‥‥‥‥‥あっ! 開きます!」

アフロース「全部隊を出して、門の守りを固めろ! 難民回収はそのあとだ!」
兵士「ダ、ダメです! なだれ込んで来ます!!」
アフロース「し、閉めろ! 門を閉めろ!!」

ダルディーク「ハッハッー! バカな人間どもめ!」
ダルディーク「ザーシュ! お前はここで敵を食い止めろ! 私は門開閉の制御塔を占拠する!」
ザーシュ「分かりました!」
※これより、プレイヤーは『ダルディーク』に代わります。

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X09:Y02 アフロース

アフロース「ダルディーク!」
ダルディーク「さぁ、門を開けてもらおうか」
アフロース「なにをふざけた事をっ! 卑怯な手を使って!!」
ダルディーク「だったら、門を開けなければよかったではないか」
アフロース「あんな殺戮を見逃せるわけがないでしょう!」
ダルディーク「その中途半端な優しさが、貴様らの愚かなところであり、弱点でもあるのだ」
アフロース「人間の優しさは真の優しさよ!」
ダルディーク「ならば、なぜこの要塞都市を明け渡さなかった。 明け渡せば難民の虐殺は起こらなかったものを」
アフロース「なにを屁理屈を言ってる!」
ダルディーク「屁理屈か‥‥‥まぁいい。力ずくでも、門は開けさせてもらう」
アフロース「やれるものなら、やってみなさい!」

アフロース「きゃあぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ‥‥‥‥‥‥」
ダルディーク「所詮は女の剣よ」

難攻不落と呼ばれた要塞都市。しかし、ダルディークによってその門は開けられ、ここに闇の手に落ちたのだった。最後の防衛線を落とされた光軍に残されたのは、王都のみであった。ダルディーク最後の侵攻が、いま始まろうとしていた。

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第二二章 燃える王都

Introduction

 要塞都市を落としたダルディークは、ついに光軍の本拠地である王都に攻め込んだ。光軍の思ったほど抵抗を受けず、簡単に王都を包囲する事に成功した。しかし、余りにも楽に事が運ぶため、これには何か裏があるとダルディークは読んでいたのだった。

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X35:Y02 ハウアー王

王の間には、光の頂点に立つハウアー王がいた。その姿には気品があり、そして威厳があった。
ハウアー王「とうとうここまで来たか、ダルディーク」
ダルディーク「フッ! ここは、ただの通過点にすぎん」
ハウアー王「しかし、途中下車してもらわねばなるまい」
ダルディーク「力ずくで降ろすんだな」
ハウアー王「我が誇りと名誉にかけて、貴様を倒す!」
ダルディーク「なにを寝言を‥‥‥死ね!」

ハウアー王「グクゥ‥‥‥‥‥‥」
ダルディーク「貴様、命をかけて何を守っているんだ?」
ハウアー王「知らぬな」
ダルディーク「猿芝居もいい加減にしてもらおう。ここは拠点にしては抵抗が少なすぎた。何か裏があるはずだ」
ハウアー王「全てに疑いを持つから、何もかもに裏があると感じるのだ」
ダルディーク「出来もしないのに、全てを信じようとする貴様らよりはマシだ」
ハウアー王「貴様は‥‥‥真の人間というものを‥‥‥ゴホゴホ‥‥‥知らないだけだ」
ダルディーク「真の人間を知らないのは、貴様ら人間だけだ」
ハウアー王「き、貴様らに‥‥‥ゲホッ!‥‥‥人間の心が分かって‥‥‥たまるか‥‥‥グクゥ!」
ダルディーク「ハハハハハ! どうした、ハウアー。読心の防御が、緩んできたぞ」
ハウアー王「ウゥ‥‥‥」
ダルディーク「‥‥‥‥‥‥なに!? ラームの鏡だとっ!?」
ハウアー王「し、しまったぁ‥‥‥‥‥‥」
ダルディーク「フェルナスめ! ハウアーを犠牲にしてまでも、ラーム鏡を‥‥‥」
ハウアー王「も、もう手遅れだ‥‥‥ラームの鏡は我ら光の者の手に‥‥‥グハッ!」

それがハウアー王の最後であった。光の指導者ハウアー王は死んだが、希望が失われたわけではなかった。まだ光側には、光の騎士フェルナスがおり、そして最後の切札ラームの鏡があった。

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第二三章 ラームの鏡

Introduction

 ラームの鏡‥‥‥それは、邪悪な者を封印すると言われている魔法鏡である。その鏡が安置されているというラームの神殿へと、ダルディークは急いだ。すでに光側は、ラームの鏡の探索を開始しているのだ。しかし、ラームの鏡を見つけた者はフェルナスではなく‥‥‥‥‥‥

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X09:Y02 フェルナスの部下


X05:Y20 フェルナスの部下


X22:Y14 フェルナスの部下

ダルディークがその部屋に入ったとき、既にラームの鏡は持ち出されるところだった。
ファーナ「ダ、ダルディーク!」
ダルディーク「どうやら間に合ったか」
ファーナ「ここは私が防ぎます! さぁあなたたちは早く鏡をフェルナスの元へ!」
ダルディーク「こざかしい小娘め!」
ファーナ「何をしているの! 早く行きなさい!」
騎士「し、しかし、ファーナ様!」
ファーナ「いいから行くのです! フェルナスには、いえ私たちには、その鏡が最後の望みなのよ!」
ダルディーク「貴様の相手は後だ。今はその鏡に用がある」
ファーナ「鏡が欲しかったら、私を倒すことね!」
ダルディーク「そんなに死にたいのなら、望み通り殺してやろう」

いくら戦士といえども、女の力ではまったくダルディークの相手にはならず、ファーナは軽くあしらわれてしまった。
ファーナ「あぁ‥‥‥‥‥‥」
ダルディーク「この小娘が! おかげでラームの鏡を取り逃がした」
ファーナ「これで私の目的は達したわ。さぁ、殺しなさい!」
ダルディーク「殺す? バカな事を‥‥‥こんな良い女を殺すと思うのか? フェルナスの女をな!」
ファーナ「ど、どうしてそれを!」
ダルディーク「フェルナスの事は全て調査済みだ」
ファーナ「うぅ‥‥‥‥‥‥」
ダルディーク「貴様がフェルナスの為と思ってやった事が、逆にフェルナスを苦しめる事になるぞ、フハハハハハハ!」
ファーナ「い、いや! 放して!」
ダルディーク「連れて行け!」

ダルディークは四龍の騎士たちと合流すると、フェルナスが篭る城へと向かった。もちろんファーナも一緒である。

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第二四章 亜空間からの脱出

Introduction

ダルディーク「久しぶりだな、フェルナス」
フェルナス「ファ、ファーナ!」
ファーナ「ああ、フェルナス‥‥‥」
フェルナス「貴様ぁぁぁ、卑怯なまねをぉぉぉぉぉ」
ダルディーク「怒るのは後にしろ、今はラームの鏡が先だ」
ファーナ「ダメよ、フェルナス! 鏡を渡してはダメ!!」
ダルディーク「‥‥‥と、言っているが、どうするフェルナス? 見殺しにするか?」
フェルナス「おのれぇダルディークぅぅぅぅぅぅぅ」
ダルディーク「貴様に選択の余地はない。 さぁ、自らの手でその鏡を割るのだ」
ファーナ「ダメェェェェ、フェルナス!」
フェルナス「‥‥‥‥‥‥‥‥‥」
ダルディーク「どうした? 貴様には時間も無いのだぞ」
フェルナス「わ、分かった‥‥‥鏡を‥‥‥」
ファーナ「ダ、ダメよ! 私はどうなってもいいの! だから鏡を使って! 早くその鏡でダルディークを!」
フェルナス「‥‥‥‥‥‥ダ、ダメだ! 俺には出来ない!!」
ダルディーク「フッ! だろうな」
ファーナ「フェ、フェルナス‥‥‥」
フェルナス「す、すまないファーナ‥‥‥‥‥‥」
ファーナ「フェルナス‥‥‥‥‥‥さようなら」
フェルナス「え?」

フェルナス「ファーナ!!」
ダルディークが剣を引くより一瞬早く、ファーナは自らダルディークの剣に身を投げた。
ファーナ「あぁ‥‥‥フェルナ‥‥‥ス‥‥‥」
ダルディークの腕の中でファーナは力なく崩れて行く。
ダルディーク「チッ!‥‥‥死に急ぎよって」
フェルナス「ファ、ファーナァァァァァァァァァァァ!!」

ダルディーク「フェルナスよ。これが人間の言う優しさか? これが本当の愛なのか?」
フェルナス「‥‥‥‥‥‥‥‥‥」
ダルディーク「フン! こんなものは見せかけにすぎん。絵に描いた花と同じだ」
フェルナス「貴様ぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁダルディィィィィィィィィクゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥ!!」
ダルディーク「ん?」
フェルナスの身体を青白い光が包む。いや、ラーム鏡が輝き出したのだった。
フェルナス「ダルディーク! ゆるさん!!」

ダルディーク「ムゥ!」
ファーナ「うおぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉ!!」
ラームの鏡から放出されたまばゆい光は、一直線にダルディークへと突き進む。
ザーシュ「いかん! ダルディーク様をお守りしろ!!」
四龍の騎士は、とっさにダルディークを囲む。そこへラームの鏡の光が、直撃した。

ダルディーク「ウウォゥ!」
四龍の騎士「グワァァァァァァァァァァァァ!!」
ダルディーク「こ、これが‥‥‥ラームの鏡の‥‥‥力‥‥‥か!」
ダルディークは、身体が何処かへ引き込まれるのを感じた。
四龍の騎士共々、ダルディークの身体がゆっくりと消えていく。
ダルディークが最後に聞いたのは、フェルナスのファーナの名を呼ぶ悲痛な叫び声だった。

ダルディークが気が付くと、そこは別の次元、亜空間の世界だった。
ダルディークは脱出路を見つけるべく、己の先に続く亜空間の迷宮へと足を踏み入れる。

MAP

開けた場所に出ると、四龍の騎士が集まっていた。
ザーシュ「ダルディーク様、御無事で!」
ダルディーク「ああ、お前たちも無事な様だな」
ザーシュ「ところでダルディーク様、ここはいったい‥‥‥」
ダルディーク「どうやら違う次元に運ばれたらしい」
ザーシュ「なんとかして脱出しないと」
ルーラ「それよりも、脱出なんか出来るのかしら?」
ダルディーク「入る事が出来たんだ。出る事が出来ないわけはない」
ラーディス「それじゃあ、早いとこ出口ってやつを探さないと」
アーリア「そう簡単に見つかればいいんですけど‥‥‥」
ダルディーク「いや、どうやら簡単に見つかりそうだ」
ザーシュ「え?」
ダルディーク「あそこの空間に歪みを感じる。 あそこへ全員の空間転移の魔力を集中すれば‥‥‥」
ザーシュ「さっそくかかりましょう」
ダルディーク「よし」

ダルディーク「ぐぅうぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉ!!」
全員の魔力が一点に集中したとき、空間がねじれ、先ほどまでいた城内の風景が見えてきた。
ダルディーク「よぉぉぉし‥‥‥お前たちから先に戻るんだ」
ザーシュ「いえ、ダルディーク様から」
ダルディーク「いいから行け! お前たちでは、この空間を意地するのは無理だ」
ルーラ「し、しかし‥‥‥‥‥‥」
ダルディーク「早くしろ! もうもたん‥‥‥」
ザーシュ「分かりました。 急げ! みんな早く出るんだ!」
ルーラ、アーリア、ラーディスと続きに、最後にザーシュが亜空間を脱出する。
ザーシュ「ダルディーク様、急いで下さい!」
ダルディークが亜空間を出ようとしたとき、空間の穴が閉りだした。
アーリア「危ない!」

とっさにアーリアが歪みに飛び込んだ。そして、ダルディークの腕を取ると、思い切り身体を引っ張り出した。
しかしその反動で、逆にアーリアが亜空間の歪みに挟まれてしまった。
ダルディーク「アーリア!」
しかし、もうダルディークの腕はアーリアには届かなかった。
アーリア「ダルディーク様! 世界を、世界をお取り下さい!」

ダルディーク「アーリア‥‥‥‥‥‥」
アーリアの姿は、空間のねじれと共に消えて行った。

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第二五章 決戦

Introduction

 ダルディークは城に残っていた光軍の兵士から、フェルナスの居所を聞き出した。フェルナスは、元レドラル城、現在はダルディークの居城になっていたその城に居るという事だった。

ダルディークはレドラルへ向けて馬を走らせた。途中、何個もの光軍部隊に出会ったが、それを蹴散らしレドラルだけを目指した。ダルディークに突破された光軍部隊は、次々にダルディークの追撃を始めた。レドラルへ向かうダルディークを追う光軍は、いつしか数千の大部隊となっていた。
ダルディーク「後ろの奴らは大した事ないが、レドラルの本隊と挟まれたら厄介な事になるな」
すると、雷龍の騎士ラーディスが突然馬を止めた。

ラーディス「ダルディーク様! ここは私に御任せ下さい!」
ザーシュ「ラーディス!」
ラーディス「なーにあんな雑魚ども、俺様一人で十分ですよ!」
ダルディーク「‥‥‥頼んだぞ、ラーディス」
ダルディークは、ラーディスを残し、さらにレドラルへと馬を走らせた。

 ラーディスによって追撃部隊を引き離したダルディークは、ついに元レドラル城である、我が居城にたどり着いた。城には光軍の旗が幾つもはためいており、ダルディークたちはそれを苦々しく見つめた。
ダルディーク「フェルナス‥‥‥今度こそ殺す」

MAP


X11:Y19 フェルナスの部下
X14:Y12 フェルナスの部下


X09:Y01 フェルナスの部下
X06:Y11 フェルナスの部下
X15:Y05 フェルナス

ダルディークたちは吊り天井の仕掛がある廊下にたどり着いた。この廊下に侵入者が入ると、天井の巨大な石の爪が降って来る仕掛である。
ザーシュ「ダルディーク様! 安全装置が破壊されています」
ダルディーク「なに?」
ザーシュ「これでは、誰かがここでハンドルを抑えていないと、ここは通れません」
ダルディーク「まさか、自分の仕掛けた罠に苦労させられるとはな」

ザーシュ「私が抑えています。 ダルディーク様は、早くフェルナスの元へ」
ダルディーク「分かった」
ルーラ「ザーシュ‥‥‥‥‥‥」
ダルディーク「ルーラ、ダルディーク様を頼むぞ」
ルーラ「分かったわ」
ダルディーク「行くぞ、ルーラ!」
ダルディークとルーラが吊り天井の廊下を走って行った。自分の腕一本で支えている吊り天井の下を、何のためらいも無く通るダルディークを見て、ザーシュは熱いものを感じた。
光軍兵士「いたぞ! あそこだ!」
ザーシュ「クッ! 見つかったか」
ハンドルを支える黒龍ザーシュに、十数人の光軍兵士が取り囲んだ。
ザーシュ「おのれぇ‥‥‥いま放すわけにはいかんのだ、いま放すわけには‥‥‥」
光軍兵士「仲間が通りきるまでハンドルを抑える気だぞ!」
ザーシュ「絶対にこの手は放さん!」
光軍兵士「ハンドルの腕を狙え! とにかくハンドルから手を放させるのだ!」
光軍の兵士たちは、ザーシュに次々と切りかかる。しかし、片腕といってもザーシュは強すぎた。見る間に光軍兵士は半分に減っていた。
光軍兵士「ええーい! ひるむな! 一斉に切りかかれ!」
ザーシュ「集中攻撃をくらったザーシュの左腕から、ハンドルが外れた」
ザーシュ「しまった!」

とっさにザーシュは回転する歯車に左腕を挟み込んだ!
ザーシュ「グゥウゥ‥‥‥‥‥‥」
光軍兵士「な、なんて奴だ!」
ザーシュ「どうした、貴様ら? まさか片腕しか使えない男を恐がっているのか?」
光軍兵士「ウウゥ‥‥‥‥‥‥ええーい! ひるむな!! 奴は身動きがとれん! 今がチャンスだ!!」
ザーシュ「来るなら、死ぬ気でかかって来い。さもなくば‥‥‥‥‥‥死ぬぞ」
光軍兵士「ウクゥ‥‥‥‥‥‥い、行けぇ!!」
ダルディークたちが廊下を渡りきるのを待っていたかの様に、吊り天井が地響きをたてて下に落下した。
ルーラ「ザ、ザーシュ‥‥‥‥‥‥」
ダルディーク「行くぞ、ルーラ」
ルーラ「はい!」
ダルディークとルーラは、ようやく王の間にたどり着いた。

フェルナス「ダ、ダルディーク!」
ダルディーク「迎えに来たぞ。地獄へのな」
フェルナス「おのれぇ、今度こそ止めを刺してやる!」
ダルディーク「いままでの借りは全て返す。貴様の死によってな!」
フェルナス「黙れ! もう一度封印してくれる!」

フェルナスはラームの鏡を構える。すると鏡から、また、まばゆい光が溢れ出す。
フェルナス「永遠に亜空間をさまよい続けろ、ダルディーク!!」
ダルディーク「ウヌゥ!!」
と、その時、ラームの鏡がフェルナスの手から弾けた。

フェルナス「な、なにぃ!?」
ダルディーク「この矢は‥‥‥」
ラームの鏡を貫いたのは、一本の矢だった。
そう、その矢の持ち主は‥‥‥‥‥‥
ダルディーク「アーリア!」
ダルディークは思わずそう叫び、振り向いた。

そこには、確かにアーリアが立っていた。しかし、それは幻影の様に透き通る実体の無いものであった。
ルーラ「アーリア‥‥‥‥‥‥」
アーリアはルーラに微笑むと、ダルディークに向き直った。
アーリア「ダルディーク様、世界をその手に‥‥‥」
ダルディーク「約束しよう」
アーリアは満面の笑みを浮かべると、静かに消えていった。

フェルナス「こうなったら、この光の剣で、貴様を地獄に送ってやる」
ダルディーク「‥‥‥‥‥‥‥‥‥」
フェルナス「行くぞ!」
ダルディーク「フェルナス!‥‥‥‥‥‥貴様、死ね!!」

フェルナスとダルディーク最後の戦いいま始まった。
フェルナス「炎龍を見張れ! 手出しをさせるな!!」
フェルナスの部下「はい!」
ダルディーク「ルーラ! 雑魚は任した!!」
ルーラ「分かりました!」
フェルナス「ぬおぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉ!」
ダルディーク「ぐぅおぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉ!」


フェルナス「もらったぁぁぁぁぁぁ!」
一瞬の隙をついて、フェルナスがダルディークの懐へ飛び込んだ。
ダルディーク「ウオォッ!」

フェルナス「や、やった!」
フェルナスの光の剣が、暗黒のよろいを突き破り、ダルディークの胸に深々と突き刺さった。
ダルディーク「ぐぅわぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!」
ダルディークの絶叫が、部屋の中に反響する。
フェルナス「ん?」
しかし、その絶叫は、すぐに笑い声へと変わっていった。
ダルディーク「ダァーハッハッハッハッハッハッ!」
ダルディーク「かゆい! かゆいぞ! そんな攻撃、蚊に刺された程度だわ!」
フェルナス「そ、そんなバカな‥‥‥」
ダルディーク「死ねぇぇぇぇぇぇぇぇぇ!フェルナスゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥ!!」
フェルナス「させるかぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!」

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エンディング

どれくらいの時がたっただろうか‥‥‥。
長く冷たい静寂が、辺りを包んでいた。
最初に気が付いたのは炎龍の騎士ルーラだった。気が付くとルーラは、城の外にいた。あの瞬間、もの凄い力に吹き飛ばされ、城の外まで飛んでいたのだった。
途中、倒れていた黒龍の騎士ザーシュを抱え上げた。生きているかどうかは確認しなかった。
ルーラは、とにかくあの部屋へ行きたかった。あの人のいる部屋へ‥‥‥。

部屋に入って最初に目についたのは、フェルナスの顔だった。その表情は眠っている様にも見え、また微笑んでいる様にも見えた。
ルーラは思った。なんと無心な表情なのだろうかと‥‥‥。

しかし、その胸には、暗黒の剣が深々と突き刺さっていた。
ルーラ「ダ、ダルディーク様は!?」
「大丈夫だ」

気が付くと黒龍ザーシュが、起き上がろうとしていた。
しかし、その左腕はまったく動かず、一人で立っている事も出来なかった。
ルーラ「ザーシュ?」
ザーシュ「ほら、あそこに‥‥‥」
ルーラはザーシュの視線の先を追った。そこには‥‥‥‥‥‥

その瓦礫の山の影から、ダルディークが姿を現した。
ルーラ「ダルディーク様!」
ダルディーク「フフ、フハ‥‥‥フハハハハ‥‥‥」
ダルディークはただ笑っていた。しかし、その表情は何か大きなものを成し遂げた、達成感に満ち溢れていた。
ダルディーク「ラーディスを迎えに行くぞ」
ルーラ「はい」

数千の敵を一人で防いだその男は、数十本の矢を身体中に浴びて、仁王立ちしていた。
ルーラ「ラ、ラーディス‥‥‥‥‥‥」
ザーシュ「こ、こいつ‥‥‥‥‥‥」
ルーラ「え?」
ザーシュ「こいつ寝てるぞ!」

ラーディス「ガハハハハハハハ! あんまり待ちくたびれたんで寝ちまったぜ」
ザーシュ「殺しても死なない奴だと思っていたよ」
ルーラ「まさにバケモノね」
ラーディス「おいおい、同僚に向かって、バケモノはないだろ、バケモノは‥‥‥」
ルーラ「一緒にしないでよ!」
フェルナスを失った光軍は、もはや何の抵抗力も残されていない。こうして、この島はダルディークの手に落ちたのだった。

ダルディーク「見ろこの島を‥‥‥何と小さな島なことか」
ダルディーク「こんなもので満足する私ではないぞ」
ザーシュ「世界‥‥‥ですね」
ダルディーク「そうだ」

ダルディーク「この手に、世界をこの手に入れるまで、戦いは終わらない」
ダルディーク「決してな‥‥‥。」

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ディー・アーク
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